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- 24章 -
- 普通 -
しおりを挟む「そうだなぁー。決め手はなにかと言われたら、自分が自分らしく居られるから、が一番かな」
「自分が自分らしく?」
「そう。無理してカッコつけたり、なにかを取り繕ったりしなくて良い。ありのままの自分で居られて、そんな自分を愛してくれて、俺も俺らしく彼女を愛する事が出来る。それが決め手かなぁ。自分に無理して一緒にいても疲れるだけだし、そんなの長く続かないからねぇ」
ありのままの自分を愛してくれる。
自分が自分らしく居られる。
兄の言葉に市ノ瀬との観覧車の会話が甦る。
どんな否定の言葉も後悔の言葉も受け入れてくれた。
良い所も駄目な所も全部好きだと言ってくれた。
嫌いな所もお前だからと認めてくれて
その上で一緒に背負わせて欲しいと言ってくれた。
市ノ瀬と居る時は、変な気をまわす事もなく、取り繕ったり良く見せようとしたりしもせず、ありのまま自然体で楽しく過ごせる。
自分が笑うと彼も笑い返してくれる。
彼が笑うと、それだけで自分も嬉しくなる。
あまりの真っ直ぐな物言いや行動に、心落ちつかなくなる事も多いけれど…
兄が言った結婚の決め手は、正しく市ノ瀬そのものだ。
『えっ、なにこれ、俺もう結婚すんの??』
…いや、違うちょっと混乱した
色々と問題がある以前に飛躍しすぎだ。
「じゃぁさぁ」
「うん?」
「好きってなんだと思う?」
「………ちょっ…、と待ってね」
「うん」
決め手は分かった。それが市ノ瀬に当てはまってしまう事も分かってしまった。もしかしたらそれは市ノ瀬が努力してくれた結果なのかもしれない。でも安積にとって踏み出す為にはそれだけじゃ足りないのが正直な所で…
安易に出してはいけない答え故に自分の気持ちさえも安易に決めてはいけない気がして、自分の気持ちが本当に好きと言うことなのか、慎重に見極める為にも飛躍した考えをなんとか足元へと着地させると続いての質問を絞り出した。
そして飛び出した弟の発言に
兄が即座に待ったをかけ、その心中ー
『…お分かりだろうか?』
と、そんな言葉が思い浮かび頭を抱えた。
自分も通りすぎてきた青い時代を正に今懸命に生きる青少年達の若く青々しい青春に、懐かしさや恥ずかしさ、微笑ましさや応援したいと言う気持ち、ときめき諸々で落ち着かない大人の気持ちが…
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いや、なかったな』
言っといてなんだが恋愛や結婚をしたのは社会人になった後、妻ただ1人であった。若い頃は今と違って上手く調整出来ず、他人の様々な感情が無差別に流れ込んで来ていたので自分も体験したような感覚になってたのかもしれない。
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