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- 24章 -
- 普通 -
しおりを挟む大多数と同じであり普通であると言うことが安心できる事は勿論知っているし、そこからはみ出すのが勇気のいることだと言うことも知っている。
『難しいこと言ってるのは分かってる。けど…』
そんなバンドワゴンに流されて自身の望む幸せを逃してしまうなんて事にはならないで欲しい。
「1人の人を愛して1人の人に愛される。ただそれだけでしょ?それが同性だろうと異性だろうと否定する権利なんて誰にもない筈なんだよ、本当は。でもね、考えは人の数だけあってどうしても受け入れられない人も居る。何事も全員に受け入れられる事なんて殆どないよ」
「それは…そうかも、だけど」
「だからさ、誰かの受け入れられないを全部止めてっちゃったら、なんにも出来なくなっちゃうじゃない。周りの意見に流されないで自分の気持ちを大切にして欲しいって、俺は思うよ。自分で見て考えて、幸せだと思う事を選んでいかなきゃ」
「…だけどさ、そうだとしても、その受け入れられない人が、自分の友達とか…家族とか、大好きな人だったらって思ったら…怖いじゃん。やっぱり」
『…そうだろうねぇ』
弟を見ていれば、きっと今までたくさんの人に愛されてきたであろう事は手に取るように分かる。それは勿論弟の人柄の賜物であり、そうなれるように努力をしていたかそうでないかなどは関係なく悪いことではない。
しかしだからこそ誰かからの“否定”に慣れておらず、こと大切な人からの“否定”には大きな恐怖を感じてしまうのだろう。
でも誰からの否定を一切受けずに生きていくことは今回の件に限らずほぼ不可能な話だ。少なからず、いつかは慣れていかなければならない事でもある。
「そうだね。怖いよね。じゃぁ、怖いからって好きな人の事を諦めちゃうのは、その子にとって良いことなのかな?」
「それはー…」
「だからこそ、もし分かりあえない時は切り捨てる事も必要なんだよ。友達か家族か。それとも想いを寄せている人かを。その誰かをさ。全員好きな人には変わりないから選択するのは辛い事だけど、誰に相談しようと、結局その誰かを決められるのは、自分自身だけだから」
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