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- 24章 -
- 普通 -
しおりを挟む『…やっちゃった。完全にフリーズしちゃってる』
養子縁組がどうのこうのなんて話は別に今しなくても良かったかもしれない。自分にとって身近な話が相手にとってもそうだとは限らないのだし…余計ややこしくしてしまった。
行動する前にデメリットを把握しておく事も大切だけれど、そればかり考えても足を止めてしまうだけだ。なせば成る、踏み出してみれば思ったよりもなんでもない事だったと言うことだってあるのだから。
ついつい、心配で喋りすぎてしまう。
「あー…ごめんね、なんか色々言って混乱させたかもしれない。まぁ、だからね。要は、 “ 大変なことも全部含めて本人達が幸せだと思うなら良いんじゃないかな ” って思うんだよね」
「…そっか。じゃぁさ、聖が…幸せの為に切り捨てたり我慢した事ってなに?」
「えっ、そこ?」
「うん」
「…なんでまたそんな。どうして、そんな事聞きたいの?」
色々と話した中でまさかそこを拾われるとは思わなかった…もっと、こう、乗り越える為にはどうすれば良いかとか、決断する為にはどうすれば良いかとか、家族や親しい人達はどう思うだろかとか、そう言った事を聞かれると思っていた。
『切り捨てたもの…は…』
それは弟にとって気持ちの良い話ではなく、伝えるには物凄く躊躇われる話だ。それなのにまるで狙ったかのようにピンポイントで質問してくるなんて…予想外すぎる。
「聖の言う通り、もちろん大なり小なり我慢は必要だと思う。でも出来るなら…俺は何かを切り捨てたりなんてしたくない。それは多分、皆一緒だと思うんだ。だから…それでも聖が切り捨てなきゃならなかったものがあったのなら、それはなんだったんだろうなぁって」
「…なにを捨てるのかは人各々だから、俺のを聞いた所で聖の参考はならないけど」
「それでも」
「でも、聖にとって良い話じゃないし」
「…良いよ、大丈夫」
『大丈夫って…簡単に言ってくれるなぁ』
答えてしまえば異母弟を傷つけるのは明白だ。けれど自分を見る真剣な目に嘘をつくのも躊躇われる。
『正直に言うべきか、黙っているべきか…』
まだ多感な10代の子供だ。どんどんと様々なものを吸収し、良くも悪くも影響されやすく、繊細で傷つきやすい。出来るかぎり悲しい事や辛い事から守ってあげたい。その為ならなんでもする。
そう思う反面、常に何もかもから守り甘やかしてばかりいても本人の為にならないのも事実だ。大人になって困難が立ち塞がった時には、それまでの経験が物を言うのだから。
それに真剣に悩んで真剣に問いかけてくる弟に、真剣に答えないのも不誠実かもしれない。
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