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慰弦

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- 24章 -

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「えっ、なになにっ?どうしたのっ??」

「だって……」


市ノ瀬とクレープを食べに行った日。1人では決断できそうもない思いに答えを出す為に、また市ノ瀬からの猛攻撃に耐える為にと助けを求めたのは異母兄だった。

取り付けた約束通り自宅を訪れた異母兄を迎え入れるや否や、靴も脱がずに急に抱き締められ安積が戸惑いの声をあげる。


「最近さ、ずっーと落ち込んでたでしょ?ごめんね、なにも出来なくて」

「いやいやっ、ひじりが謝ることじゃないよっ!俺こそ心配かけてごめんっ」


時折遊びに来る異母兄が心配そうにしてたのは知っていたけれど、文化祭からのいざこざをどうしても話す事が出来きず心苦しく思っていた。きっとこの先も話すことは出来ないだろうが、無事に解決もしたことだし今後の振る舞いで安心してもらうしかないだろう。

『…まぁ、また別の問題が出てきちゃったわけだけどさ』

一先ず安心してもらう為にと力強く自身を抱き締める兄の背中を抱き締め返し、ひとしきり抱擁を終えると揃ってリビングへと向かいソファーに並んで腰を下ろした。

『心配かけさせた上にこんな話するなんて気が引けるけど、自分の事として話すわけじゃないし…大丈夫だよね、きっと』


「今日は奥さんは?」

「友達と旅行中!」

「じゃぁ……飲むっ!?」

「あらっ、進めるの上手になったわね!」


頻繁に来るため最早常備されてると言っても過言ではない焼酎を掲げにっこり笑うと、唐突におねぇが登場した。

『というか、バッチリおつまみ用意してきてよく言うよ。おつまみの入りのパックにお鍋様の材料の入ったスーパー袋を引っ提げて登場しといてよく言うよっw』

準備の良さは毎回の事だけれど、奥さんが不在なことに加え今回の装備を見るに、相談があるというお願いに対し腰を据えてたっぷり聞いてくれるつもりで来てくれているのは間違いなさそうだ。

『…ありがと、ひじり』

心中感謝を示しながら、2人揃って鍋の準備の為台所へと向かった。
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