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- 24章 -
- もう一つのキーホルダー -.
しおりを挟む『良かった…少し笑ってくれた』
学校での出来事を話すのはあまり好きではないのだけれど、それで元気になってくれるのならたまには良いだろう。あの日の出来事全てを振り返り思い出すのはまだ苦々しく苦しくもあるが、それでも楽しかった時間だってあったのは確かで、良かった時間だけを振り返ると更に言葉を続けた。
「お昼ごはんはその方々と同じ部活の子達と食べたんです。同じ部活の子がたこ焼きとお好み焼きで悩んでたので、両方頼んでシェアしました。…可愛らしいですよね」
「あー、分かる分かる悩む気持ちー…シェアしてくれる子が居るとすっごく助かるw仲良いのねっ!」
「…えぇ。とても良くしていただいてます。やはりいつものお昼ごはんと違ってああ言う場で食べるのは、理由もなくわくわくして美味しく感じるものだなと改めて実感しました」
「それめちゃ分かるっ!対して美味しくなくても無駄に美味しく感じるし謎にテンション上がるよねっ!」
「あぁ、そうでなくてもご飯は美味しかったですよ。ソース的なのもう見たくないって言うほど自宅でも練習してたみたいですし」
「そんなにっ!?えらっw」
「後は、同じ部活の子がやってみたいと言うので…これを、作りました」
そう言ってポケットから取り出したのは、花と月をあしらった夜のモチーフと、花と太陽をあしらった昼のモチーフのキーホルダーだった。渡す間もなく事故に遭い今の今まで渡せずにいたのだが、退院が決まってようやく渡すことが出来ると持ってきていたのだった。
「僕はこういうの付けないので、姉さん達に上げようと思って作ったんです」
力なく落とされている姉の手を取ると、昼のモチーフのキーホルダーを乗せる。渡したかった人に渡したかった物を渡せる、こんな嬉しいことはない。
色の白い手の上で日の光を反射して輝くその風景に、小さく鼻をすすり大事そうにぎゅっと握りしめた姉の姿に、なんだか自分まで泣きそうになる。
「渡せて、良かったです」
「……うん、ありがと。ありがとう、明。大切にするから」
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