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慰弦

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- 24章 -

- クレープ -

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でも、こんな事相談できる人なんて……

相談できる人なんて……

『あっ! ぃや、でも……うーん………』

思い浮かぶ人は1人だけ居るには居る。

けれど、ほぼ一緒に生活していたことはないとしても、それでも間柄的に気まずいものがある。

彼なら否定や偏見なく真剣に相談に乗ってくれるだろうし、彼がどんな話をしてくれるのかもとても気になる。自分より人生経験は豊富だし、なにかしら良い案をくれるだろう。

『でもやっぱり…』

赤の他人ではない人からこんな事を言われたら、ショックを受けさせてしまうかも…大事にしてもらってもいるし、悲しませてしまうかもしれない。それは嫌だ。

『ようやく自由に会えるようになったのに、こんな話をして悲しませるのはー…あっ!』

そうだ。なにも馬鹿正直に自分の事として話す必要はないわけで、むしろ他人の話としての方が本音の意見をくれるかもしれない。

『あれ、今日の俺冴えてる??』

あまり返事を待たせすぎるのも市ノ瀬に悪いし、なにより今の宙ぶらりんな状況に自分が耐えられそうにない。

なるべく早めに時間見つけて相談してみよう。

色々考えてる内に動悸も収まった。

取り敢えず風呂入って明日の準備して、宿題してゆっくりしよう!!

上向きに寝っ転がったまま両手を組んで天井へと大きく伸びをし、気合いをー…

気合いを……

視界に入った自身の手に、帰り際の出来事が一瞬にして頭の中を駆け巡る。

市ノ瀬の不適な笑みと、手の甲にかかる暖かな息、そして言葉を紡ぐ毎に触れる柔らかなあの感触が。

『っっ!!』

視界から逃がすようにバッと両手を抱え込んで丸まった。収まった筈の心臓がまた煩く音を立てている。

『せっかく落ち着いたのにっ!!なんなんだよもうっ!!』

誰かを想うというのは、こんなにも終日落ち着かなくなるものなのだろうか?世の皆様はこんな大変なことに耐え続けて居るのだろうか?

『すげぇな…』

余裕なんて全然顔を出してくれる気がしない…

溜め息をついて、無意識に手の甲を見つめた。

そして、その手に

頬擦りをー………


「しねぇよっっっ!?」


すんでの所で自身の行動に気がつき勢い良く起き上がると、誰が聞いてるわけでもないのに声を大にして言い訳を口にした。

もう、これはまずい。

結果を出すことでこれが収まるのかは分からないけど、このままだと自分が持たない。

市ノ瀬の猛攻撃に耐えられる気がしない。

『早く話を聞いて貰わないとっ!』

その勢いのまま相談相手にLINEを飛ばし約束を取り付けると、着替えをひっつかみ風呂へと直行した。
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