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- 24章 -
- クレープ -
しおりを挟む「やべー!うまっ!!ってか凄っ!触った感じ下の方にもちゃんとアイス入ってるっ!最高かよっ!!」
「へぇー、結構乗っかってるだけのが多いのに。良かったな」
「ほんとそれwまじこれ好きリピ確っ!!ほらお前もっ!いちごもアイスも食って良いから!」
「どーも。じゃぁ、こっちも」
「ありがとっ!!」
当初の予定通り、シェアをと持ってたクレープを交換したのだが……
「……遠慮ねぇな」
「えっ!?ごめん食いすぎだった??」
「いや、そー言うんじゃなくて…まぁ、良いけど、別に。なんでもねぇ。気にすんな」
「…そう?」
『少しは意識するとかねぇのかよ』
嬉しそうに躊躇なく齧り付く姿を見ると、なんだか少し複雑な気分になる。まだまだ自分の努力が足りないのかもしれないと反省すると共に、これはこれからの課題だと密かに心に止めた。
「睦月、早く食わないと溶けるっ!」
「あ、わりぃ」
主張するアイスのせいでかぶりつくことは出来ず、スプーンでアイス、クリームと苺と順番に口に運んでいく。
『うん、旨い』
旨いのだが、その間注がれ続ける視線が地味に痛い。
安積の周りには “ どう!?旨いっ!?旨いでしょ!? ” と言う文字が見える気がする。
『お前が作ったわけでもないのにそんなわくわくした顔しなくても…まぁ分からなくもないけど』
親しい人と同じものを見て感じて心から共感しあえる事は嬉しいだ。安積のおかげでそう思える事を知った。その相手が安積なら尚更喜びは計り知れない。
「旨いな」
「だよなっ!!」
予想通りの嬉しそうな笑顔に自然と同じように笑みが浮かぶ。こういった何気ない日常を、安積と共に過ごす未来があるとしたならば…。
その未来の為に、今なにをすれば良いのだろうか?
どんな事をすれば手に入れられるのだろうか?
悩みは尽きないけれど、それでも2人で居られる時間を悩む事だけに使うなんて勿体ない。楽しまないとと静かに目を瞑ると頭を切り替えた。
当り障りない会話を楽しみながら、ちょこちょこシェアしつつ、食べ終えた時には満腹感という幸せの苦しさが2人に舞い降りる。
「あー…旨かったぁー幸せー…満たされたぁー」
「そーだな。腹キツいわ…」
シェアしながらだったとはいえ、自身が1つ完食する頃には2つとも完食していた安積に驚愕する市ノ瀬だったが…太るぞ、と言う言葉は取り敢えず飲み込むことにした。
更なる悩みや課題は少しばかり浮き彫りになったけれど、取り敢えず今日のところは幸せそうに楽しんでくれただけで良しとしよう。
良しとしよう……とは思うけど
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