591 / 1,142
- 23章 -
- 青の終焉 -
しおりを挟む「えーと…取りあえず、がっくん達誘ってみよっか」
「まぁ、学は来なさそうだけど、声はかけても良いかもな」
それにしても、あそこまで勢いよく断るなんて…しかも安積の誘いを。クレープに親でも殺されたんだろうかという勢いだ…
「あっきー、こーゆーのそんなに嫌いだったっけ?」
「さぁ、そんなイメージねぇけど」
「だよねぇー」
もう一度顔を見合せ首をかしげる。しかしこれ以上考えたところで答えはでなさそうだ。もうそろそろHRも始まるしと会話を打ちきり前を向く安積だったが、直ぐにもう一度、半分だけ市ノ瀬へと顔を向けた。
「どーした?」
「がっくん達も誘うから」
「おー」
「……今回は」
「……おう」
それだけ言うと、再び前へ向き直った。
本当に、なんなのだろうかこの可愛い生き物は…
不意打ちにからかう事も出来ず、机に突っ伏し声にならない声をあげる。すると、直ぐにLINEの通知オンが鳴り、のろのろと携帯を手に取る。
そこには、開かずとも通知欄で読みきることの出来る短文が送られてきていた。
“でもデートじゃないからっ!”
『はいはい、分かってますよ』
いつかデートだと言わせてやる。
…いや、もしかしたら照れて一生言ってくれないかもしれないけれど。
それでもこうして意識してくれているということは、進展への吉兆と捉えても良さそうだ。
丁度担任が教室に姿を現し立ち上がっていた生徒達が急いで席に座り始める中、あまりからかっても逆効果になりそうで、“りょー”とだけ返信し、HRへと意識を戻した。
そしてそんな朝のやり取りで生まれた疑問は、意外と早く解決することになる。
昼休み、生徒会の仕事で少し遅れて合流する事になった班乃だったが、声をかけた途端向けられた視線に嫌な予感がして足を止めた。
「あっきー!!」
「……なんです?」
名前を呼びながら元気に手招きするその姿が、今はなんだか少し怖い。だがいつまでも突っ立ってるわけにも行かず、招かれるままに合流し腰を下ろした。
「綾から聞いたよ!? あのクレープ屋行ったことあるんだって!?なんで教えてくれないのよー!」
「………綾雪?」
笑顔で植野を見るその目が、余計なこと言ってないでしょうね?と語っているのがよく分かる。
『圧っ!!圧怖いよあっきーっ!?』
冷汗を浮かべ控えめな降参ポーズで顔を横に降ると、ため息と共にその圧から解放されほっと胸を撫で下ろした。
「えーと、実はそうなんです。一度綾雪に連れていかれたんですけど、僕個人的にはあまり合わなかったので…楽しみにしてる安積達に悪いなぁと」
嘘は言ってない、嘘は。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951

ヤバい薬、飲んじゃいました。
はちのす
BL
変な薬を飲んだら、皆が俺に惚れてしまった?!迫る無数の手を回避しながら元に戻るまで奮闘する話********イケメン(複数)×平凡※性描写は予告なく入ります。
作者の頭がおかしい短編です。IQを2にしてお読み下さい。
※色々すっ飛ばしてイチャイチャさせたかったが為の産物です。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる