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慰弦

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- 23章 -

-真誠-

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「なぁ」

「はい」

「前に、安積を傷つけたくないのは今もこれからも変わらないって言ってたよな?」

「えぇ」

「それは、信用して良いんだよな?」

「勿論です」


でも、もう自信がない。
思いだけではどうにもならない。
自分自身を信用する事はもう出来そうはない。
自分勝手なのは分かってる。
でも、安積を守ろうとしてくれてる市ノ瀬なら
自分から安積を守ってくれると思うからー


「……分かった」


組んだ両手を口元へと持っていき、両腿に肘をつき前屈みに口を閉ざした。動いた反動で静かな公園に錆び付いて軋む鎖の音が響き、その不快さがまるで自分のようで耳を塞いでしまいたくなる。


「もう1つ、聞いて良いか?」

「はい」


逃げ続けるわけにはいかない。
けれど、もう、止めてほしい。
聞きたくない。
しかし、言わなくてはいけない。
でも、冷静で居られるだろうか?

なにを言われるのかが、怖い。


視界の端で市ノ瀬が背筋を伸ばし自分を見たのが分かる。そんな真っ直ぐな目で見ないでほしい。

羨ましくて、妬ましくて
どうにかなってしまいそうだ。


「安積は、明の、なに?」


「……安積は、僕のー」
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