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- 23章 -
-真誠-
しおりを挟む「気にすることないって!!飲めるけど俺もそこまで好きってわけじゃないし!ねぇ、がっくん?」
『なぜ俺に振る?』
しかし振られたからには何にか返さないととフォローしなれてない頭をフルに回転させた鈴橋は、取りあえず植野と同じようにしとけば良いだろうとー
「そうだな。飲めない奴だってたくさん居るだろ。俺は飲めるけど」
その悪意なく重ねてきた鈴橋の言葉を聞いた瞬間、すかさず安積が笑いを堪えながら市ノ瀬の肩に手を置いた。
「そうだよっ!俺もそんなに好きってわけじゃないし!飲めるけどっ!!ねぇ、あっきー!?」
「そうですね。苦手だからと言って気にすることないですよ。僕はブラック好きですけど」
そう言う班乃の顔には、少しばかり憎しみが籠っているような気がするのだが…
「…お前らフォローする気ないだろ」
こう言う所で無駄なコンビネーションを発揮するのはやめて欲しいところである。
しかし上手く話しはそれてくれたので良しとしようと、反論する事なくスルーすることに決めた。
「それはそうと、めっちゃ楽しかった遊園地!久しぶりだったし!今度は皆で行きたいなぁ!」
「良いね!楽しそう!」
「ふしQとか夢の国行ってみたい!」
「でも、ふしQはかなり遠いよ?」
「じゃぁ、卒業旅行とかで!!」
「もう卒業旅行の話し!?w」
「めっちゃ楽しみ!!だけど卒業悲しい!!」
「忙しいなっ!!」
随分遠い話で盛り上がってる植野と安積の会話をにこやかに見守る班乃と、鬱陶しそうに聞き流してる鈴橋のあまりの反応の違いに風邪を引きそうだ…
しかしー
「楽しそうにしてんなぁ」
と、そんな言葉が市ノ瀬の口から自然とこぼれ落ちた。その声は隣に座っていた鈴橋には聞こえていたようで、市ノ瀬の視線を追いその先に居た安積を眺める。
「……そうだな。良い息抜きにでもなったんじゃないか?遊園地」
「そう、かもな」
まさか聞こえてるとも返してくるとも思っておらず驚きはしたものの、班乃の手前鈴橋を見ることはせず手短に返す。
自分だけじゃなく鈴橋の目にもそう映ったのだとしたら、本当に昨日の事が息抜きになってくれていたのだろう。そうだとしたら嬉しい限りだ。
「学」
「なんだよ」
「お前の言った通りだったわ」
「なにが」
「まぁ、良い感じってこと」
「はぁ。よく分からんが良かったな」
「おぉ、助かった」
「…別に」
なんとなくだけれど鈴橋の事が分かってきた気がする。めちゃくちゃ不機嫌そうな声だけど、多分これは照れてるだけだ。
『これが属に言うツンデレってやつか?まぁ、俺は素直な方が好きだけど』
ただー
『一緒になる奴は大変そうだなぁ』
その人物が目の前に居る事などつゆ知らず憂慮する市ノ瀬だったが、植野にとってはそれすらも需要すぎるくらいなので無用な心配と言うことは知るよしもない。
昼休み終了の時間が近づき、誰ともともなく後片付けをすると全員で屋上を後にした。
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