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- 23章 -
-真誠-
しおりを挟む「おはよー!!!」
「おそよー!」
「殿様出勤かよっ!」
「一般ぴーぽーのただの寝坊だよっ!!」
「知ってるよっw」
案の定、安積が学校に現れたのは昼休み直前だった。
『出勤……いや、登校直後から賑やかな奴だ』
それと同時に一気に華やぐ教室は間違いなく今まで彼が築き上げてきたその結果であり、誰にとっても心地の良い場所であることは疑いようがない。
歩みを止めることなく次々に投げ掛けられる言葉を器用に返しながら自分の机へとたどり着くと、後ろの席のます……市ノ瀬に笑顔を向けた。
「あっ!おはよ、睦月っ!!」
「はよ。良い夢見れたかよ?」
「見ないくらい爆睡っ!!」
「邪眼は効かなかったようで」
「残念っww」
テンポ良く会話を続けながら鞄から取り出したのはー
「腹減った!!ご飯行こっ!ご飯っ!!」
来る途中でしっかりと買ってきたらしいお昼ごはんだった。急いで来たであろう事は分かるけれど、その抜かりなさに頭の中で笑いと呆れが競い合う。
「お前のその人生楽しんでる感好きだわぁー……」
別に誉めたわけではなかったのだが、驚いた様に動きを止めた安積は直ぐ様は弾けるようなはにかんだ笑顔を浮かべた。
「ありがとっ!!」
「……おぅ」
「あっきーおはよっ!ご飯行こっ!!」
「おはようございます。体調不良ではなくて良かったですよ」
「心配かけてごめん!でもチョー元気だから!だから腹減ったっ!」
「はいはい」
朝から…ではないが心臓に悪い。
楽しそうに見せる笑顔ではなく、楽しく笑う笑顔を望んでいるのは自分の癖に、一々これではどうにかなってしまいそうだ。
誉められたからなのか、好きと言われたからなのか、そのはにかみの意味を都合良く捉えてしまいそうで、自惚れそうになる思考をなんとか追い出した市ノ瀬は、2人と共に屋上へと向かった。
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