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- 23章 -
- 創始 -
しおりを挟む「しっかし、観覧車なんて何年ぶりだろー!小さい時乗った記憶はあるけど覚えてないなー!睦月は?」
「乗った記憶はねぇなぁ」
「えっ、じゃぁ、初??良かったじゃん!!」
「なにが?」
「え?初めてって楽しくない??」
「あー、まぁ、そう…か?」
「えっ、楽しくない!?」
しょんぼりとした顔で言われると、こっちが悪いことをした気になるから不思議だ。今さら苦し紛れかもしれないが、楽しいよ、と返すとそれでも嬉しそうに笑った。
自分の事のように喜ぶ安積姿を横目に見つつ、その時は月影さんも一緒だったんだろうか?とぼんやりと考える。
『…でも、腹違いって言ってたよな。確か』
聞いてしまえばなんだか別の問題も浮上してしまいそうだと、一先ずそこは突っ込まないことにした。
笑みを浮かべながら景色を眺める安積の目には窓に映るイルミネーションが反射し、色を移り変えながら光り輝いている。
『…綺麗だな』
しかし楽しんでいる所申し訳ないがこれ以上堪能する時間は作ってあげられそうもない。気合いを入れるため音を殺しながら1つ大きく深呼吸をした市ノ瀬は静かに口を開いた。
「安積」
「ぅん?なに!?」
「前に言いたくないことは言わなくて良い、って言ったこと、覚えてるか?」
瞬間、空気が冷めたのを感じる。
静かに閉じられた安積の目が再び開けられると、ゆっくりと市ノ瀬へと向けられた。その顔には先程とは意味の違う笑みが浮かんでいる。
それは市ノ瀬の嫌いな笑顔だ。
「ちゃんと覚えてるよ。ありがと、否定しないでくれて。…嬉しかった」
「そりゃ良かった。で、その考えは勿論今も変わってないわけだけどー」
どんどん安積の表情が暗くなっていくのを感じるが、止めるわけにはいかない。止めてほしそうにしてるのも十分感じとれるけれど、それでも伝えなくてはならないことがある。
今更尻込みする気持ちも
止めるという選択肢も市ノ瀬にはない。
「そうすることで無駄に悩んで足を止めて、モヤモヤしたままで居るのはもう止めることにした。お前達はお前達のやり方でやれば良い。俺は俺のやり方でやる」
「ごめんっ」
間髪入れずに謝る安積に、なにが?と返すと、俯いて自分の服を悔しそうに掴みながら震える声で発せられたのはー
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