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- 22章 -
- 不調和 -
しおりを挟む「明!!なーにしてんの!」
「貴方こそなにしてるんです?」
「マッドに寝転んだら屋上に居るの見えたから来てみた!」
「今日も元気そうで何よりです」
自主制作活動後、特になにをするわけでもなく屋上でぼんやりしていた班乃の元に訪ねてきたのは先程まで校庭で部活動に勤しんでいた植野だった。
「学君はどうしたんです?今日は一緒じゃないんですか?」
「今日は予定があるとかないとかで先帰っちゃったから暇なんだよねぇー」
「そうですか。残念ですね」
「寂しくなっちゃうよねー(-ω-。)」
大袈裟に肩を落とした植野はフェンスを背に腰かけている班乃の元へと携帯を弄りながら歩みを進め、自然な流れで隣に座るとスマホをズイっと差し出した。
「ねぇっ!ここ行きたいんだけど!」
「………お1人でどうぞ」
「冷たいっ!?」
差し出された画面に表示されていたのは駅ビルに新しく入ったクレープ店のHPで、いかにも女性受けしそうな無駄にデコレーションされたメニューが並んでいる。
「なんかめっちゃ甘いの食べたい気分でさぁ、せっかくなら新しくできたって店行ってみたくて!でもー」
画面からパッと顔を上げるた植野は、心底嫌そうな顔をしている班乃の顔を指差し可笑しそうに笑った。
「明がそんな顔するくらいには行きづらいから、付き合ってほしいなってww 赤信号皆で渡ればって言うじゃん?」
「皆でも渡っちゃ駄目です。ってことで、僕はこれで」
「ちょっ!待ってって!後生だからっ!!」
「いつの時代の人ですか貴方は……」
「なんだかんだ言って付き合ってくれるあっきー大好き!」
「行くなんて誰もーって、ちょっと!」
背を向け帰ろうとする班乃の手を逃がすまいと半ば強引に引っ張り、そして今に至る。
「あー、やっぱり一緒に来てもらって良かった……」
「半強制的でしたけどね…」
辺りには女性特有の高い声が飛び交い、お客さんの9割は女性という列に若干疲弊したような表情を浮かべながら2人は並んでいた。
「もう、今からでも良いから帰って良いですか?」
「1人にしないでお願い…この試練を乗り越えたクレープはきっと美味しいよきっと」
「僕そこまで甘いもの好きじゃないんで」
「糖分大事よ糖分!ほら、今のうち頼むの決めとこ!」
ショーウィンドウに並んだサンプルの前には女子高生が陣取っていて見ることが出来ず、仕方なしに植野の差し出した携帯でメニューを見る。
『あんまり美味しそうなのないな……』
と思いつつも、連れてこられたとは言え1人で頼ませるのも気が引ける。
「あっ、甘いの好きじゃないならこの辺は?色々あるよ!ピザとか、ベーコンエッグとか、チリトマトとかもあるよ?」
『…夕飯、食べられなくなりそう』
打開案とでも言いたげに指差されたメニューは、そう思うくらいに盛り盛りに盛られていた。
仕方ないとその中でもあまり量の多くなさそうなメニューに決め、頼んだのは良いもののー
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