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- 22章 -
- 不調和 -
しおりを挟む「なぁ、学」
「なんだよ」
「もしもさ」
「……」
「自分の好きな奴が親友と付き合ってるかもってなったらどうする?」
「…なにその昼ドラ展開」
なんだか急に話題が反れた上問いかけられた昼ドラあるあるな展開に思わず突っ込む鈴橋だったが、余計な話でグダグダ会話が引き伸びるのは面倒だと一先ず聞かれた通り考えてみる。
『浮気だなんだは置いといてー』
植野が親友、とは違うが取りあえず市ノ瀬と付き合ってるとする。
「………ビビるな」
「や、そーじゃなくて。ってか居んのか好きな奴」
「もしもだろ?」
「あー、そうだな」
急に自身に関する話題に触れられ内心焦りつつも極力平常心を保って返答する。今はまだ植野との事を誰にも言うつもりはない。
上手く誤魔化せただろうかとチラリと盗み見た市ノ瀬は全く気にした様子はなく小さく安堵の息を吐いた。
「後はまぁ、悲しいとか悔しいとか。色々あるんじゃないか?」
「そう、だな……お前だったら、聞く?」
「聞く…付き合ってるかどうかってことか?」
「そう」
「聞くだろ」
「Σ聞くのかよ!?」
『即答すぎてこっちがビビるっ。ないのか、こー、関係にヒビが入るかも、とかそー言うの!?』
なんで?という顔をして居るのがなんだか憎らしい。
「お前は付き合ってるかもって言う可能性で身を引くのか?それはまた静粛な神経をお持ちで」
「あるだろ色々と。気まずくなるとかっ」
「誰が?」
「俺も好きな奴も親友もっ、皆だよっ」
「皆?…皆、気まずくなる、ねぇ…」
それを最後に口を閉ざし、初めて目の当たりにした問題に直面したような難しい表情で腕を組んだ。
『大丈夫かこいつ……?』
気まずくなるかも、関係が壊れてしまうかもと言うことは、こういう局面では誰しも考えそうなごく自然な感情だと思うのだけど…
しかしだからこそ、そう言うことを考えない鈴橋が一体どういう答えを導き出すのかは興味が沸く所である。もしかしたらこのドンズマリした今を打開するような奇抜な意見が飛び出すかも知れないとある種の希望を抱き、大人しく鈴橋の言葉を待った。
「そんなの、自分次第じゃないか?」
「なにが?」
「お前は今その2人と普通に接することが出来てるのか?」
「…わかんねぇ」
「出来てないなら、聞いて気まずくなるのと大差ないじゃないか」
「それはー…そうかも、しれないけど…」
「聞いても聞かなくても気まずくなるなら、聞いて気まずくなる方が良いだろ。付き合ってないなら良かったと思えば良いし、付き合ってるなら、諦めるなり伝えるだけ伝えてみたり好きにすれば良い。どうなっても気まずくなる結果は変わらないんだから、その後普通に接する事が出来るように自分が努力すれば良いだけの話だろ」
「でも、もし俺とそいつが付き合ったとしたら、そいつを好きな親友だって気まずいだろ?」
「そんなの知ったかとか。好きは否定できないだろ。そん時はそいつが頑張れば良いだけの話だし、そいつとも交友していきたいならお前らが努力すれば良いだけだ」
「………」
「なんだよ?」
「いや、意外と押し強タイプなんだなと…」
「…そんなつもりはないけど」
そうなのだとしたら、それを植野相手に出来てれば我慢させ続けることはなかったのかもしれない…少し落ち込みそうになる鈴橋だったが、今は順風満帆だし結果良ければ、だ。
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