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- 20章 -
- 開演 -
しおりを挟む「そっか、分かった!今日は来てくれて本当にありがとうございました!」
「いいよいいよ、俺達も久しぶりに母校これて楽しかったし」
「ね!良い汗もかけたし、弟君達の演劇も楽しかったし!俺達こそ誘ってくれてありがとね!」
「いえ!とんでもないです!!」
レシーブチャレンジの事を知らない植野と市ノ瀬の頭上に?が数個浮かんだが、運動部の出し物にでも行ったのだろうと特に触れることもなく手を振る3人に各々お辞儀や手を振り返し見送るが、その帰り際。すれ違いざまに月影が安積の頭に手を置いて何やら心配そうな視線を向けた。
『ひじりってたまにこういう時あるよな…』
自分がなにかに悩んだり落ち込んだりしてる時、なにかを知っているかのような態度をとることがある。
『そんなに分かりやすいかな、俺…』
とりあえず出来る限りの笑顔で返すと、またね、と言って皆と帰っていったのだった。
その後は班乃について追及されることもなく各々行きたい所も既に回って居たため、特に目的もなくぶらつき文化祭は終了を迎えた。
「むっちゃん達は片付け終わったら部活の打ち上げだよね?」
「あぁ、多分そうなると思う」
「綾達は?」
「俺は…どうだろ?多分クラスの打ち上げ的なのはあると思うけど。がっくん行く?」
「クラスの出し物参加してないし、してたとしても行かないだろうな」
「ですよねー…」
分かっては居たけれど、たまには鈴橋と一緒に参加してみたい……というか、どんな理由でもなんでも良いから、少しでも長く居たい。
鈴橋との距離は、徐々に徐々に近づいて居るとは思う。けれど、やはり温度差は感じてしまう。性格と言われればその通りのようにも感じるが、寂しいと思ってしまうのはしょうがないことだろう。
「じゃ、また明日っ!!」
「おー!また明後日ーー!!」
「そーだったーーww」
明日は文化祭の振り替え休日だ。安積の言い間違いを植野がナチュラルに訂正して返し、手を振りあうと各々出し物の片付けへと向かった。
「がっくんっ!」
「ん??」
「またね!!」
さくさくと栽培部へと向かおうとする鈴橋の肩に手を置き呼び止め、またね、の挨拶をする。また明後日、と言わないのは、もっと一緒に居たい、出来れば明日だって会いたい、の意を込めてだが、多分鈴橋には伝わってないだろう。
「あぁ、また…」
そういう鈴橋の顔はなんだかお疲れの色が見えていた。元々ガヤガヤした所(子供以外の)が好きではないらしいので、今日は相当疲れたのだろ。
「今日はゆっくり休んでね!」
「……あぁ」
肩から離した手を軽く振り、栽培部へ向かうその背中を見送った。
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