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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む「50っ!51っ!52っ!」
「ご~じゅさんっ!ご~しゅしっ!!」
「まだまだぁっ!!」
「だぁー♪」
少し時間は遡る。
体育館には数を数える対照的な声とボールがぶつかる音が響き渡り、上着を脱ぎシャツを腕捲りしたスーツ姿の男性2人と現役バレー部員とが激しくボールを“打ち合って”いた。
レシーブチャレンジと称したバレー部の出し物の筈が、余裕を醸し出す2人に最早アタック練習なのでは??という声が回りから囁き初められている。
「ねぇーー??」
「67っ!68っ!69っ!」
「な~なじゅうっ!!」
「おぉーい……」
熱中する長谷川と秋山から少し離れた観客の中から、2人の上着を両手にかけた月影が話しかけるが気がついて貰える様子はなく悲しそうに眉を下げた。
「あの、あの2人のお知り合いですか?」
「んー? うん」
そんな月影に恐る恐る話しかけたのは、連続アタック疲れでバトンタッチし休みに入った現役学生だった。
「えっと、あの方達って…もしかしてプロの方ですか?めちゃくちゃうまいし、背もバカ高いし…」
「うぅん、違うよー。高校生の時にバレー部だったってだけ。卒業してからはやってない筈なのに今でもあれだけ打ち返せるのは凄いよねぇー。ほんっと、もう。明日あの2人が筋肉痛で動けなくなってるのがありありと目に浮かんで楽しみだよ」
「そっ、そうですか…」
少しの意地悪な発言はガン無視されているこの状況に免じて許して欲しい。そんな事知るもしもない学生が少しひきつった笑顔を浮かべるが、それでも目の前でいまだレシーブを続けている2人が気になるらしく負けじと会話を続けた。
「でも、今でも体が覚えてるってすごいですよね。強豪高だったんですか?」
「だった、っていうかそうだよ。今でも全国行ってるし」
「そうなんですかっ!?すごっ!じゃぁ俺達的にはライバル高ってことになりますね…ちなみにどこ高校ですか?」
「ここ」
「え?」
「ここだよ。静創学園。OBなの、あの2人」
「えっ、えぇー!?じゃぁあのお2人っ、先輩って事なんすねっ!!すげぇ!!」
OBと言うことで親近感が沸いたのか砕けた口調でキラキラとした目で見つめる学生に微笑ましさを感じながらも、時計を見ると12時近くまできている。
そろそろ移動しないと予定が狂ってしまいそうだ。ちょうどその時100を数える声と共にボールの音が止み、2人が打ち返すことなく真上に打ち上げたボールをキャッチすると体育館は拍手と歓声に包まれる。
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