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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む「ねぇ、紗千、せっかくだし、紗千も好きな花使ってこれ作ってみないか?」
材料は文化祭で使ったあまりがあるから揃えなくても大丈夫だし、自分で作るという経験で感性や器用さ、技術といったことの成長に繋げることも大切だと思う。自分が教えて上げられる事ならなんでも経験させてあげたいという思いからの発言だ。
「こんな凄そうなの、紗千に作れるのかしら?」
「やろうとしなければ絶対に出来ないでしょ。一緒にやれば大丈夫だよ」
「それもそうね」
「作れるの!?紗千もこれ作れるの!?」
「うん、出来るよ。一緒にやろ」
「ほんとっ!?やったぁー!!作る!お兄ちゃんと一緒に作るっ!!」
兄の提案でテンションが上がり、母の手を握りピョンピョンと跳ねていたその時ー
「あれっ!? 紗千ちゃんとおばさんっ!?」
喧騒の中でも聞き間違える事は決してないだろうその声の主は、人混みをぬって鈴橋一家へと一直線に向かってきた。
「あっ!!あや兄だぁ!!」
「……お前、なに持ってんだ」
「あぁ、これ??」
その両手にはペアのくまのぬいぐるみが抱えられており、その後ろにはどうやら一緒に行動していたらしい人物が気まずそうななんとも言えない顔をしてたたずんでいた。
「クイズを答えて賞品を探せっ!!に挑戦して手に入れたペアなくまさんだよっ!!」
「あー、まぁ、おめでとう。なんか珍しいな。植野と市ノ瀬が一緒に居るなんて」
「いや、本当はせーちゃんも居た筈なんだけど、気がついたら居なかったんだよね。神隠しっ!」
本当は、“トイレ行ってくるからちょい待ち!!”という安積の声を植野が聞き逃し、その声に気がついていた市ノ瀬はそのうち追いついてくるだろうと放置していた結果合流できず今に至っていた。
「そんなことよりっ!」
「そんな事って…」
「こんにちはおばさん!!文化祭来れないって聞いてたんだけど、来れたんですね!!」
「こんにちは綾君。市ノ瀬君もこんにちは、お久しぶり」
元気良く挨拶をする植野とは対照的に、市ノ瀬は無言のままペコリと頭を下げる。そんな態度を特に気にするでもなく、鈴橋母はふふっ、と穏やかに笑い返した。
「そうなのよー。最初は仕事もあるし来られないと思ってたのだけど、去年も来られなかったし紗千もお兄ちゃんの文化祭行きたいって言うから、パパと話し合って午前中だけならってことでなんとか調整して貰えたの」
「そんなんですか!!良かったね、がっくん!!」
「そうだな。良い思い出になってくれるといいけど」
良かったねの言葉を、自身ではなく妹に向けた言葉だと疑いもせず受けとる辺り、究極のシスコンはどうも健在らしい。
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