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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む「2人とは違ってがっちりしてて、すっげぇ守ってくれそう!!泣き黒子もちょーセクシー!!大人の魅力かっけぇ!!」
屈託なく裏表もなさそうな純粋な笑顔で笑う安積に、感激すぎてみていられないとでも言うように顔を背けた。
「だってさ、班乃君。あの子、いっちばん最初に言ったんだよ!! “3人ともかっこいい”
ってっ!挿し絵にすらのせて貰えてないであろう俺を、常に2人に隠れる地味な俺を、ちゃんと誉めてくれるんだよっ!!良い子すぎてヤバイ…あいつの弟とかまじ信じられんっ!!」
「押し絵って……まぁ、確かに安積は素直で良い子供とは思いますけど」
長谷川も言うほど地味じゃないとは思うけれど、あの2人と居たらそう思ってしまうのもしょうがないか…しかし涙ぐむほどか?余程悲しい思いをしてきたのかもしれない。哀れみは沸いてくるが、
いい加減どっか行ってほしい。
早く安積と2人で文化祭を回らせて欲しい。
「長谷川さん達はこの後どうするんですか?」
「ん?んー、特に決めてないけど、とりあえず昼は綾の所で食って、君たちの演劇みて、鈴橋くんの所のぞいて、後はまぁ、久々の母校だからあちこちブラついてみる感じになるかな?」
「あぁ、そういえば3人ともOBでしたもんね」
じゃぁ、早速どうぞ、と言おうとしたところでタイミングよく秋山が文化祭のパンフレットを片手に走りよってきた。
「みてみて!てっちゃん!!バレー部でレシーブチャレンジやってるみたい!!受けきれた回数で商品もあるって!!」
「おっ!面白そうなことやってんだな!!これは行くしかないなっ、はなっ!!」
「よし来たてっちゃんっっ!!」
「OB元バレー部のレシーバー&リベロコンビの力見せつけてやろうぜっ!!」
「やろうぜーー٩(*´꒳`*)۶°˖✧」
やる気に満ち満ちた表情で腕捲りをしながら走り去る長谷川と秋山に出遅れ置いてかれた形となった月影だが、なぜかその顔は不思議と嬉しそうだ。
「やっぱり変わんないなぁ、あの2人は」
そうひっそり呟くいた月影は安積を振り返り、頭へポンポンと手を置き穏やかに笑いかける。
「じゃ、俺も行くね。また後で、演劇楽しみにしてるから、頑張ってね」
「うん!」
先程の子どものような騒がしさとは打って変わり、今度は兄のような、保護者のような顔で笑いその場を去る姿をぼんやりと見つめていた班乃だが、なんだか疲労感がどっと襲ってきたのは言うまでもない。
「なんか、なんというか…なんだかんだ長谷川さんも同じようなタイプなんですね。まったく、皆さんコロコロ表情が変わって疲れますね」
「そう?楽しそうで良いじゃん!楽しいのが1番だよ!」
「まぁ、それはそうですけど…」
嵐のような3人が過ぎ去った学園入口は、一気に人が流れ随分と落ち着いたように見えた。
「では、そろそろ僕達も行きましょうか」
「うん!どこから行こうかなぁー!!」
パンフレットを片手に楽しそうな安積を見ているとどんな疲労感も飛んでいくような気がするから不思議だ。2人でパンフレットをのぞきこみながら、文化祭がいよいよスタートした。
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