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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む晴れ晴れとした秋晴れの空。盛大な狼煙が打ち上った学園には大勢の人々が集まっていた。
校門にはふんだんに花がちりばめられた美術部力作の見事なアーチがかかっており、あまり気付かれる事はないが実はこの花、栽培部が育てたものであり地味に大活躍していた。
アーチを潜るとを直ぐに受付となっており、実行委員によってパンフレットが配られている。そしてその隣には各クラスや部活の出し物がずらりと並んでいた。
「おはようございます。賑わってますね」
「あっ、会長、おはようございます!!ここは不備なく進んでますよ!」
狼煙を打ち上げた班乃は直ぐに受付の様子を見にやって来ていた。勿論各出し物を回る自由時間や自分の出し物をする時間も確保されているが、全体が問題なくまわって居るか、トラブルがないかを気にかけていくのも生徒会会長としての役目でもある。
つつがなく終わりますようにという願いは今のところ届いているようで、文化祭は賑やかに順調なスタートを切ったようだった。
「あっきー!!」
「あれっ、安積?」
昇降口から満面の笑みで大きく片手を振り上げながら小走りで近寄ってきた安積が班乃の隣にぴったりと立ち止まる。まるで飼い主の隣に “付け” をする小型犬のようだ。
「睦月と綾雪はどうしたんです?一緒に回るって言ってましたよね?」
「そーなんだけど開始早々どっか行っちゃったからあっきーに会いに来たっ!落ち着いたら一緒にまわろうと思って!」
「置いてけぼりですか…なんて酷い」
「悲しいねっ!!」
「の、わりにはやけに明るいですね?」
「だって文化祭だもんっ!!」
置いてけぼり食らったところで悲しむ暇などないほどテンションは爆上がりだ。右も左も色んな出し物があるし、保護者や知人その他諸々、普段学校には居ない人達が溢れているのも新鮮で楽しい。
「まったく、安積らしいですね」
「ん?なにが??」
と問うてはいるが、答えを求めているように見えない程早く色々な所をまわりたくて仕方がない様子が表情や落ち着かない体からありありと見てとれる。
置いてけぼりにされたのは少しばかりかわいそうな気もするが、そのおかげで安積と2人でまわれのならば班乃にとって喜ばしく思うところでもあった。
「じゃぁ、行きましょうか。受付も問題ないみたいですし、何かあれば連絡が来るでしょうし」
「やったっ!!とりあえずはあれだなっ!栽培部行こっ!下駄箱付近でやってるって!がっくんとこ遊びに行こっ!!」
「そうですね。恐らく買い物するなら帰り際だと思うので今の時間は暇してるでしょうし」
「確かにっ!!じゃ、早く早くっ!!」
両手で班乃の腕を掴むと、ぴょんぴょんと軽く跳ねた。あぁ、可愛いなぁーなんて内心思いながら、栽培部の方へと足を……
向けようとしたとき、入り口から小さなどよめきが起こった。
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