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- 19章 -
- 矛盾と決意 -
しおりを挟む「ペンタス、桔梗、ダリア、クレマチス、竜胆、コスモス、撫子、我ながら、我等ながら良く頑張ったよな!!」
「そうですね…ハーバリウムもなんとか完成しましたし。ほんと、なんとか…」
部室前の花壇で顔までもを土で汚した部長、冴霧が部室の中で出来上がったハーバリウムを前に力尽きている鈴橋へと窓を介して笑いかけた。
「あとは値札と花言葉カード作って包装紙とかリボンとか買って、本番間近に鉢に植え替えて装飾すれば準備完了だなっ!!」
「ですね。明日なら妹の迎えないので買い物行けますけど、どうします??」
「いいよいいよっ!学には値札と花言葉カード頼んでるし、買い出しは半幽霊部員取っ捕まえて行ってくるから大丈夫!」
「…それは、逆に先輩が大変なんじゃ」
「ねっw でもまぁなんとかなるよっ!捕まんなかったとしても1人で出来ないことはないしさっ!」
「そう、ですか…」
当初は冴霧もカード作成に加わる予定だったが、あまりのセンスのなさ…いや、不器用さに鈴橋の担当になったのだった。
保育園の手伝いのおかげでそういったものは得意な方であり、鈴橋的に楽な割り振りであるがゆえ申し訳なさも感じてしまうが気遣いを無下にするわけにもいかない。
「では、そっちはお任せします」
「任せといてっ!!」
拳を胸にあて自信満々に笑った冴霧は室内へと戻り、制服に着替え帰宅の準備を終えるともう1度窓へと足を向け花壇を眺めた。
その顔には静かな笑みが浮かんでいる。卓上の片付けをしながらその様子を横目で見ていた鈴橋は、今更だけれどずっと思っていた疑問をぶつけてみる。
「あの、先輩?」
「んー?」
「先輩は、なぜ栽培部に入ったんですか?」
「なぜ?なぜっ、て…それはー」
部員でありながら、あるが故に、栽培に興味を示す男子生徒の少なさは身に染みて分かっている。菜園に興味を示す人は居ないではないが継続はしないし、花卉園芸となればかなり貴重だ。
突然の今更ながらの質問に一瞬戸惑った表情を浮かべた冴霧は、腕を組んで天井を見上げ暫し思考に時間をついやした。
「んー…なぜって、改めて聞かれるとなぁ。なんというか、勉強の為と言うか、生活の一部と言うか、そんな感じ?家花屋だし」
「…えっ!? 花、屋?」
「そう。言ってなかったっけ? あくまで仕入れて売る仕事だから1から育てる訳じゃないけど、仕入れるにも花の状態は見て分からなきゃだし、売れるまでの管理も育て方の説明も仕事の内だし」
「…成る程。だから花に詳しかったんですね」
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