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- 19章 -
- 矛盾と決意 -
しおりを挟む「因みに男も女も関係ないからね」
「…え?なにが?」
「避妊用具が必要なのは」
「なっ、んで急にそんな話っ!?もかして先生っ、男の人が好きなのっ!?」
「うぅん、違うよ?でもさ、自分がどうなのかなんて関係なく知識や見聞は広げて欲しいな。妊娠の心配はなくても性病の危険性はあるし、誰かの純粋な好きが偏見で駄目になるなるなんて悲しいこと、起こってほしくない。知ることで誰かの助けになれるかもしれないでしょ?」
「…それは、確かに」
葉斗の言葉が染々と心に染み渡る。
鈴橋を好きになる以前は同性を好きになるなんて考えてもなかったし、今も女性に魅力を感じないわけではない。鈴橋が居なければお付き合いする事だって問題なく出来るだろう。
だからこそ同性を好きになった事に動揺もしたし、同性だからこそ向けられるであろう偏見の目に悩む事もあった。
それでも立ち止まり続けることなく鈴橋に思いを伝えられたのは、偏見なく当たり前の事のように相談を聞き応援してくれた班乃の存在が大きい。
『せんせーの言う知識と見聞が明にあったおかげって事だよね…あと、多分経験も。現在進行形で色々助けられてるし』
いつか自分のように思い悩む人が居たならば、自分も班乃の様に助けになれるような人間になりたい。
『なんて考える前に、自分の事をどうにかしないとだよなぁー…』
もし思いが通じあったとしても、同性と付き合うのは自分も始めてだ。いざと言う時に困らないよう事前に調べておかなくてはならない事も多い筈、なのは分かっているのだけれど…
『ぃや…まったく調べてない訳じゃないけど…未知の世界だし、実際にってなると色々と足りないこともありそうだよね……でも流石に、そーゆー事を事細かくあっきーに聞くのも申し訳ないし…』
予習は前途多難だ。
ともあれ、先の事を見すぎて足元を疎かにするわけには行かない。予習も大事だけれど目の前の道へ着実に足を進めていくことも大事な筈だ。調べるにも調べ方を調べる必要もありそうだしと、いったん先の事を考えるのにストップをかけた。
「ありがと先生っ!勉強になった!」
「どういたしまして。君が慰められに来ないように祈ってるよ」
「フラグ立てないでよっw じゃ、あたってあたるように願っててねっ!!」
「おー!頑張れー!」
友達とも見える気軽さで手を振りあうと、エールを背に植野は保健室を後にする。目下の目標である好きを伝える手段はまだ明確ではないけれど、取りあえず部活も丁度終わる頃だろうと鈴橋と合流するため下駄箱へと向かった。
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