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- 18章 -
- 疑惑 -
しおりを挟む『まぁ、そうだよなぁー』
少し戸惑ったような返答だったが、急に変な質問をしたせいだろう。漫画やゲームじゃあるまいし男子校あるあるでよく言われるような同性愛などそうそうあるわけないし、班乃は女性受けも良さそうなのでわざわざ男を好きになる事はないだろう。
あそこまで“特別”にこだわる安積がどう思ってるのかは分からないが…。
学校のみならずプライベートでも行動を共にする時間が多い親密な2人を見てもしかしてと疑ってしまうのは、きっと自分が安積に好意を抱いているからでー
『………ん??
ぃゃぃやいや。えっ?なんだそれ。はっ?』
自身の思考の中で
聞き捨てならない単語が出てきた気がする。
誰が、誰に好意を抱いてるって??
『…んな馬鹿な。そんなわけないだろ。ただ無理しないで素のままで居られる関係が気楽そうだなって、そんなふうになれたら学校生活も楽しめるんじゃないかって……あの2人みたいに分かりあってる相手と一緒に居られたら気楽に過ごせるんじゃないかって、安積とそうなれた明が少し羨まし…いや、思ってない。そんなこと』
本当に?
本当だよっ!
否定した先から頭の中に浮かぶ疑問にざわざわして落ち着かない。自分の中に浮かぶ相反する気持ちはどちらも間違いなく自分の物なのに、どちらが本心なのか分からず混乱が巻き起こる。
『…あーもうっ!!意味わっかんねぇっ。イラつくなっ!!ってかそもそもどう思ってるかとか聞いてどーすんだよ俺っ。どうでも良いじゃねぇかそんなんっ!もしそう言う意味で好きって言われたらどうするつもりだったんだっつーのつっ!』
そう言う意味で
もし班乃が安積を好きなのだとしたら
もし安積もそうなのだとしたら
もし、2人が付き合いでもしたらー…
『…やめやめっ。筋トレに集中しよ!!ってか今何回目だ??……くっそ、最初からやるかっ』
よく分からず終わりそうにもない自答自問にいい加減苛立ちもピークに達しそうだ。せっかく3人で練習に集まったのだからいつまでも自分と話してても勿体ない。
次々浮かぶ残念を振り払う為、就寝前無心に羊を数えるかの如くセリフの暗記に意識を集中させた。
市ノ瀬が筋トレをやり直している間に安積とバトンタッチして班乃が風呂へと向かい、脱衣所を開けるために安積ぎ持ち出したドライヤーの音が鳴り始める。
雑念を振り払おうと予定よりも数をこなした筋トレがようやく終わりをむかえた頃、ふとドライヤーの音が鳴り止んでないことに気が付いた。
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