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慰弦

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- 18章 -

- 疑惑 -

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「なにかあるってゆーか、ひじりが通ってた学校だったからだよ?」

「は?…それ、だけ?」

「うんっ!」

「まじか…ブラコンが過ぎるな」

「でしょっ!なんたって俺はひじりを愛してるランキング2位だからねっ!!」

「愛してるランキングって…」

「安積らしいですねw 因みに1番は?」

「奥さんっ!ってかそうじゃなきゃ困るっ!」


意味不明なランキングを持ち出しパートナーに1番愛されてないと困ると豪語する程ブラコンなのは良く分かった。そこまでの兄弟愛は今一理解できないが、これ以上掘り下げるのは面倒事になるのは目に見える。取りあえず別の話題をと今しがた話題に出た月影の話題へとすり替えることにした。


「1人暮らししなきゃいけないくらい遠いなら、ひじりさんもこの辺で1人暮らししてたってことか」

「ぃや、友達と暮らしてたみたいよ?」

「へぇー。友達と。真似できねぇなぁ」

「お前は誰かと暮らすとか出来なさそうだしなっw」

「あ゛?どういう意味だよそれ」

「なにキレてんだよ!?出来ないって自分で言ったんじゃん!?」

「他人に言われるとむかつくっ」

「なにそれ意外と繊細!!」

「うっせぇ黙れ飯っ!!」

「やだっ、お父さんが怖いっ!!((( ;゚Д゚)))」


不機嫌そうな舌打ちと共に会話を打ち切るとテレビへと視線を向けた市ノ瀬を見届けた班乃は、聞かれないように声のトーンを落として安積へと向き直った。


「ねぇ、安積」

「ん??」

「睦月はどこまで知ってるんですか?その、貴方と月影さんの育った環境とか、そういうの」


繊細な生立ちゆえに、秘密にしてたのなら知らず知らずにばらしてしまう事だけは避けたい。神妙な表情の班乃に対して安積は不思議そうな顔で首をかしげた。


「えーと…詳しくは話した事ないから、腹違いの兄弟ってのと、OBって事くらいかなぁー」

「なるほど」

「でも俺もひじりもあまり気にしてないし、秘密にしてるってわけじゃないよ?もし聞かれたら普通に答えるけど自分からあえて話すような内容でもないじゃん?空気重くなるし。だからあっきーもそんな気にしなくて大丈夫だよ!」

「そう、ですか。分かりました」

「うん! ありがと、気にしてくれてっ」

「いえ、とんでもない」


そっか。
そーか、そーか。
そうなのか。

なんかもう、これ…
思い上がりも甚だしいってやつじゃないか。
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