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- 18章 -
- 疑惑 -
しおりを挟む安積や班乃が自分が泊まる事に不服がないのなら後は自分の気持ちのみである。
泊まり込みでなにかをした事などもちろんなく、それかどんな感じのものなのか分からない。
けれどこの2人となら…
楽しそうと思うことも事実だ。
それに…
「…分かった。俺も泊まりで参加させて貰うわ」
「ほんとっ!?やったっ!じゃぁ部活終わったら1時間…半後くらいに家に集合でおけ?俺の家覚えてるよね?」
「勿論。じゃぁ、それで」
その会話の後は其々、台本の読み込みと暗記に入った。教室の半分を使い台本とにらめっこをするキャスト人。その風景は何度みても面白いな、と班乃は眺めながら思う。
暗記のやり方は人其々だが、見ていると大きく分けて3パターンに分かれているように見える。
1つは、小さな声で台詞を読み上げながら覚え込んでいくタイプ。因みに安積がこのタイプだ。
2つ目は、ただただ文字を目で追いながら覚え込んでいくタイプ。どうやら市ノ瀬はこのタイプのようだ。
そして3つ目は、イヤホンや耳栓で外部の音を遮断して、台本を目で追い覚え込んでいくタイプ。班乃はこのタイプだ。
自分の意識意外が出す音に集中力を持っていかれてしまうので、特に市ノ瀬のようなタイプは凄いなと思う。良い意味で周りを全く気にしない事が出来るのだろう。そんな事を思いながら鞄からイヤホンを取り出し装着すると他のキャスト人にならい、いつも通り大音量で音楽を流しながら台本に集中を向けた。
3人は会話を止め台本に集中し始めた…と言いたいところだが、その実市ノ瀬の心中は集中力にかけていた。
泊まり込みでなにかをやると言う初めての経験や、2人の特別に加えてもらえたと言う喜びが不本意だけれど心を浮わつかせる。
更にはうまくいけば今回の泊まりを足掛かりにー
『安積との特別を作る切っ掛けも出来るか、も……って、いやいやっ。別に作りたいって思ってるわけじゃねぇし』
自然と頭に浮かびあがった考えを台本に顔を沈めて振り払う。それに純粋に部活動に向き合い誘ってくれた2人にこんな不純な考えで向き合うなど失礼極まりない話だ。
目を閉じ心の中で集中集中と唱えると、パッと目を開け今度こそ台本へと向き合ったのだった。
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