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- 18章 -
- 疑惑 -
しおりを挟む「分かるけどさぁー」
「まぁ、文化祭は一般の方もいらっしゃいますから」
「分かってるんだけどさぁー」
「やっぱ一般受け狙ったら王道だよな」
「それはそうなんだけどさぁー」
そんな会話を交わす3人の手には、ロミオとジュリエットと書かれた台本握られていた。
「オリジナルの台本書いてるって聞いてたから、楽しみにしてたのに…」
「それは次の機会にやるみたいですし、良いじゃないですか」
「それはそれで良いんだけどさぁー、だってこんなんさぁ…」
顎に台本を当てあからさまに不機嫌な安積は、恨めしげに2人を見上げた。
「俺、問答無用で絶対ジュリエットじゃん」
でしょうね」
「まぁ、そう
だろうな」
「ちょっ!?そこっ、声合わせないでくれるっ!?」
台本を机に叩きつけた安積は、涙目になりながら立ち上がり、2人に指を突きつける。
「2人ともさっ!考えてもみてよっ!こんな花のない男子校の唯一女の子とお近づきになれるかもしれない文化祭で、女装して男とラブロマンスを繰り広げなきゃいけない俺の気持ちをさっ!!」
「そんなこと言われましても…男とラブロマンスを繰り広げるのはロミオ役も一緒ですし」
「ってかお前こそ考えてみろよ、俺達が万が一にでもジュリエットをやったらさ」
「図体のでかいジュリエットと、親の言うこともお家の事もくそくらえな反抗的なジュリエットが爆誕しますよ?」
「毒食らうまでもなくロミオと逃避行だな」
「物語崩壊ですね」
ですねー」
「儚さ皆無
だな」
「声合わせないでくれるっ!?」
再び息ピッタリに言ってのける2人に思わず突っ込むが、言われてみれば確かにだ。
この2人がジュリエットと言うのはなかなかに考えづらい。ギャグ路線やifに物語が進むならワンチャンありかもしれないが今回はそうではなさそうだし、ありかなしかと言われたら全力でなしだ。
「こうなったら第3希望までロミオ書いてやる!!」
「無駄なあがきだな」
「どうせ投票数でジュリエットになりますって」
「それでも俺は可能性を信じるっ!!」
不貞腐れながら公言通り第3希望までロミオと記入すると投票箱へと向かった哀愁漂う安積の背中を、呆れ半分哀れみ半分で見送った2人は自分の希望用紙へと視線を落とした。
配役は自身の希望と他部員の投票で決まる。いくら自身で希望を出したとしても他部員の票が違う配役で多数だった場合はそちらが優先される。
他部員の票が±3までは同数とされ、その場合本人の希望がその役で出されて居るかで決まる。出されていれば出した方が優先され、出していない場合は、±3までを同数とせず厳密な票数で決まる。
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