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- 18章 -
- 疑惑 -.
しおりを挟む「おはよう!」
「おぅ」
良く晴れた雲一つない空。そのせいか天気は良いが少し肌寒い。そんな肌寒さを吹き飛ばすかのように元気に挨拶をしてきたのは、昨日悩んでいた時の顔を嘘のように晴らした安積であった。
「睦月っ!!」
「なんだよ、朝からうっせぇな」
「元気だって言ってよっ!!」
隣に並んで歩き始めたと思えばなぜか笑顔のまま自分を見上げ見つめてくる安積に気まずさを感じ、視線は返さず前を見据えたまま口を開いた。
「…んだよ?」
「ううん、なんでもない!あっ、前歩いてんのあっきーじゃない!?」
「あ、ほんとだ」
「おーいっ!あっきーーっ!おはよーーっ!」
登校中の生徒達が賑わう中、よく通る声でさけぶとその声に反応し振り替えった班乃は驚いた表情を浮かべたあと、爽やかな笑顔で手を振り替えした。
「いこっ!」
「ちょっ!」
市ノ瀬の腕を掴んで走り出した安積に、急なことに蹴躓きそうになるのをなんとか堪える。
『…まったく、朝から元気なやつだなっ』
安積の後頭部を見ながら、捕まれた腕を振り払うことなく一緒に走り出す。
が、なぜか今度は急に立ち止まられ、若干衝突しながら足を止めた。
「っんなんだよお前っ、あぶねぇなっ!」
危うく2人して転倒するところだ。転倒してロマンスなんて生まれた日には死にたくなるだろう。
「あのさっ!もう良いって言われたけど、もう一回言わせて。 昨日はありがとう」
「…別に、もう良いー」
「オリゴトウ!」
「ジョイマン懐っ!」
そんな短い会話を交わし、再び走り出し班乃の元へと向かった。
「安積も睦月もおはようございます」
「おはよー!」
「おう」
「まったく、朝からそんなに走って…元気ですね。…体力もちませんよ?安積」
「大丈夫っ!今日調子いいから!」
「なら、良いですけどね」
「よし!今日は台本配られる日だし、楽しみだな!早く部活いこっ!」
昨日の会話を聞いたせいか、なんだか2人の会話に特別な含みがある気がして、理解の出来ないツキツキと痛む胸を気のせいだと頭から追い払い、楽しそうに会話する班乃と安積の背を追いかけた。
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