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- 17章 -
- そろそろ本腰入れましょうか -
しおりを挟む「確かに、タイミングはすっごい大事だよね。最近ちょっと油断してたかもしれません…ありがと、会長っ!」
「いえ、そんなお礼を言われるようなことでは…」
「でもさぁ、難しいよなぁー…急ぎすぎても駄目だし、まったりし過ぎても駄目だしなんて」
体を投げ出すようにフェンスに寄り掛かった植野は先ほどの市ノ瀬よろしく空を仰いだ。蒼天が広がっていて、実に気持ちのいい天気だ。これでもう少し暑さが和らいだら最高だろう。だが気分はどしゃ降りだ。
「どうすればいいと思う?会長は」
「どう、とは?」
「がっくんにどうアクション起こしていったら良いかなって」
「…そういうのは僕に聞かない方が良いと思いますよ」
「えっ、なんで?会長、今まで沢山の女の子ぶいぶい言わせて来たんでしょ?」
「……久しぶりに聞きましたね、そんな言い回し。と言うか、実際に使ってる人見たのは初めてかもしれません」
「Σ うっそ!?」
まぁ、言葉のチョイスは置いておくとして、あながち植野の言うことは間違ってはいない。
ないけれど
ただ、それはー
「そうですね、確かに同年代と比べれば女性経験は多いとは思います。……けど」
「けど?」
言わなくてはならないわけではないし
言うべきでもないのかもしれない。
けれど、ただ少しだけー…
中途半端にとぎれさせた言葉に植野の不思議そうな視線が突き刺さる。頼られるのは嫌いじゃないが、本来なら自分は恋愛に関して助言出来るほどの人間ではない。
言葉の続きを言うべきか言わざるべきか。
迷いに漏れだしそうになるため息を押し込めて、気づかれないように小さく両手を握った。
別にされたくない訳ではないのだけれど
知られてしまえばきっと軽蔑されるだろうし
幻滅もされるだろう。
しかし、多少なりとも夜の世界に近い距離に居る植野なら、もかしたら…
「…そうですね。その殆どが一夜限りのようなものなんです。なので、好きになって信頼や恋心を育てて、告白をして恋人同士になって、肉体関係をもってという過程を経験したことは一度もありません」
「…………」
「あぁ、でもちゃんと好きになった人は居たんですよ。今までで2人、居たんですけど…そのどちら共にも思いを伝える事は出来ませんでした。1人は告白をする前に遠い場所へ行ってしまい、もう1人には告白をする前に振られてしまいました」
「…………………」
「偉そうに言っておいてと思うかもしれませんが、僕は全てに置いてタイミングを逃し続け、全てに置いて失敗をしてきたので、タイミングと言う事については、申し訳ありませんが何も助言をする事は出来ません」
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