349 / 1,142
- 17章 -
- 文化祭まで後1ヶ月弱 -
しおりを挟むそれに関しては班乃も同じ意見だったらしく、黙って鈴橋へと視線を投げた。
一同の視線を受け思わず眉間にシワを寄せると、すかさず眉間に植野の人差し指が刺さった。
「もー…いくら注目されて困ったからって、そんな怖い顔してたら駄目だってw」
「…あっ、あぁ」
『『『困ってたのか…!』』』
「栽培部の活動としては学校の花壇の世話ぐらいだな。 でも一言に世話って言っても、その植物に合う土だとか肥料だとか、その関係でなんの花を一緒に植えるのかとか、日当たりの関係でどこに植えるのかとか、色々調べたりはする…けど、あまり部員以外には関係ない話だから、知られてなくてもしょうがないと思う」
「ぅわ、地味。そんなことしてんの?たかが花にそんなことまでする必要あんのか?」
市ノ瀬の素直な感想に、今度は先ほどとは違う意味合いで、鈴橋の眉間にしわが寄った。
「…花にはリラックス効果があって精神を安定させるセラピー要素もある。けど、無駄に高い自己肯定感をお持ちで自己中心的なストレスとはそもそも無縁の人間には“たかが”ととれるだな。勉強になったよ」
「え?なに?喧嘩売ってる?俺がそんな人間だって言いたいのか?」
「違うとでも? ならお前は自分を知ることから始めるべきだな」
「あぁ゛っ!?」
「こっ、こらこらがっくん! 気持ちはわかるけど落ち着いてっ(´Д`;)」
「綾っ、お前それフォローにもなんもなってねぇの分かってるっ!?」
「ま、睦月が花を愛でるとか想像したら笑えるけど」
「安積…お前まじで屋上から落とすぞ?」
「嫌だよ。お前と心中とか」
「誰がするかっ!」
騒がしい…いや、賑やかなその風景は、とても見ていて楽しいのだけど…
さすがにそろそろ収拾しないと悪化しかねないだろう。
まったく、市ノ瀬が来てからというもの、鈴橋を怒らせる回数が増えたような気がする。
安積も安積で、すぐちょっかいを出すし。
それに、根が真面目で花や植物に対する愛情が人一倍ある鈴橋に部活に対する批判ともとれる言葉は禁句だというのに…
やれやれ、といった感じで、班乃は声を上げた。
「あっ!!」
「「「「!!??」」」」
急に上った声に、思わず一同言い争いを止め声の主を凝視する。
全員の意識がこっちに向いた事を確認すると、班乃は小さく首をかしげた。
「…あれ?なにか、大事な事を思い出した気がしたんですけど。 気のせいだったみたいです。すいません」
ニッコリと笑うその姿は、なんとも拍子抜けするというか…ある意味、険悪なムードが白けるというか。
これ以上言い争いをする気も失せた3人は、力が抜けたように自分の場所へと腰を下ろした。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる