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- 15章 -
-謝罪と始まり-
しおりを挟む「あー…やばい。 食べ過ぎた。 腹きつくって喋れない…」
「今日はいつにもましてボリュームありましたしね。少し横になりますか?」
「でも、食べて直ぐ横になると太るって言わない?」
「まぁ、良く聞きますけどね…でも、右側を下にして寝転がると消化を助けるんですよ」
「え? まじ? じゃぁ、なんで太るなんて言うんだろ?」
「んー…だらしないからですかね?」
「そんなもん?」
「さぁ?」
座ってても苦しいのは確かなので、効果は定かではないがソファーの上で寝転がった。苦しさを逃がすように大きく息を吐きだし、しばし沈黙が流れる。
「……ねぇ、あっきー?」
「なんです?」
「このソファーの向きでさぁ」
「えぇ」
「右側下にして寝るとさぁ」
「はい」
「目の前がソファーしか見えなくて寂しい」
「頭逆にすれば良いじゃないですか」
「……北枕」
「意外と気にするんですね。…まぁ、確かに、僕も安積の後姿しか見えないと言うのは少し寂しい気もしますね」
ソファーの向きを苦々しく思いながらゆっくり起き上がると、ソファーは諦め床に座布団を置き寝転がった。
「では、僕から先に喋るので、間違ってたら教えてくださいね」
「了解」
班乃が空中を見ながら思い出すように暗記した台詞を喋り、安積が台本を見ながら間違いはないかチェックをする。
普段、直感や感情にまかせ動いている安積にとって、演劇を発表するまでの過程で一番嫌いな作業だった。
「とりあえず今はココまで暗記できているんですが、何か間違いありました?」
「すげぇ…1つもミスなかった」
「本当ですか? 良かったぁ」
「ていうか、え? あと10ページ位しかなくない!? もうこんなに暗記できてんの?なんでっ!?」
「暗記は苦手ではないので」
「その能力半分分けて欲しいわぁ…」
その場所でごろごろと転がりながら自分が暗記出来た所につけた付箋を見て溜息をつく。
「俺、まだココまでなんだけど…」
「焦ることはないですよ。まだまだ時間はありますし」
「うーん…」
ちゃんと最後まで覚えられるだろうか。不安を感じつつも班乃と同じように暗記した場所まで喋り始める。暗記した量は多くないが、1度も間違える事はなかったのでとりあえずは一安心だ。
「ごめんねあっきー。 あわせるの遅くなるかもしれない…なんか今回の台詞は覚えるのが難しくってさ」
「そうですね…今回は難しい漢字も多いですし」
「中国設定ってのがまずあれだよな。もう難関漢字フラグバリサン」
「読み方も日本ではあまり使わないようなものだったりしますしね」
「ほんとそれっ」
「まぁ、がんばりましょう?」
「うん、がんばる…」
2人の暗記チェックが終わり、少し暗記を進めたところでお腹も大分楽になっていた。起き上がって時計を見るともう22時を回っている。
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