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- 15章 -
- 違うからこそ -
しおりを挟む「そうだよ…なに勘違いしてんだろ、俺」
そう思えど、頬に触れた手の暖かさが、間近で絡んだ視線が完全な否定をさせてくれない。
「……でも、だからって」
自分から聞く勇気はない。
全部勘違いだと言う線だって捨てきれないのだし…
少しずるいかもしれないけれど班乃がなんでもない様に振る舞うなら、自分もそれに習い班乃からなにかしらのアクションがあるまで保留するしか出来なそうだ。
一先ず班乃との事はいったん置いておくとして、もう1つの大問題へと思考を切り替える。
市ノ瀬のことだ。
班乃いわくそんなに悪い奴じゃないらしいが、やはり安積にはそう思えなかった。確かに話した事は少なく市ノ瀬がどんな人間か殆ど分かってない。
だけど、それでも分かる事だってあった。
人の気持ちも考えず、人の大切なものを投げ捨てて、謝る所か“いい気味だ”なんていい捨て、親切にされても御礼の1つも言う事の出来ない、子供で我侭で最低な人間だっていう事。
年齢的には安積達もまだまだ子供だけれど、市ノ瀬はその中でも年齢に見合わないほど飛び抜けている。勿論、悪い方に。
人との繋がりを大事にしている安積からすれば、そんな市ノ瀬と仲良くする事は考える事すら難しく思えた。
でも…
班乃や皆に迷惑を掛けたくない。
難しそうではあるがもう1度歩み寄って話をしてみようと決めたところで、急に眠気が襲ってきた。
なんだか頭が重く足の感覚も鈍い気がする。
思ったよりも川での探し物やその他の事で心身ともに疲労が貯まっていたようだ。
「お腹すいた…けど、眠い。 …お風呂はー…朝入るとして…今日、は…もう…ね…ょ」
今にも旅たちそうな意識を何とか保ち、アラームを確認し携帯に充電器を差し込んだところで、重石をつけた糸を切ったように意識を手放した。
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