Pop Step

慰弦

文字の大きさ
上 下
267 / 1,151
- 15章 -

- 波乱 -

しおりを挟む


安積が居なくなった屋上で、張り詰めた空気が一気になくなり3人は詰めていた息を吐いた。


「会長…一体なにがあったんですか?めっちゃくちゃお怒り中ですよね、せーちゃん」

「いつも通りとか言いつつあからさまにおかしい…って言うか、普段そういうのに無縁そうな奴が機嫌悪いと地味に怖いですけど」

「なんかすいません…ちょっと、色々とありして。 僕にも原因があるので、僕が何とかします。暫し不都合おかけしてしまうかもしれませんが、少し待ってもらって良いですか?」

「まぁ、会長がそういうなら俺は構いませんけど…」

「言いづらい事もあるしね…」


と言いつつも、どこか腑に落ちない顔をしている。

全部話せば長くなってしまうし、正直この話はしたくはない。だがこの2人は安積を心底心配してくれているし、共に行動する事も多い…

ここはざっくりとでも話しておくべき所だろう。


「…まぁ、あれです。原因は僕の校則違反でして」

「…校則違反?してましたっけ?」

「指輪していたでしょ? その事がとある子を刺激してしまって…」

「あぁ、市ノ瀬って奴だな」

「…えぇ、まぁ」

「で、そいつがどうしたんですか?」

「えと…その子が怒って指輪を投げ捨ててしまって、それで安積までが怒ってしまって、ちょっと色々とね」

「はぁ?たかがそれくらいでっ?馬鹿なのそいつっ?」

「…見た目通りの糞やろうだな。指輪、前に大事な物なんだって話してましたよね?会長は大丈夫ですか?」

「えぇ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。ただ少し教室の空気が重くなってしまって。市ノ瀬君に対しての批判の目が、ね…転校してきたばかりなので余りこういう事は嫌なんですけど…」


感情に任せ手を上げはしたものの理由が理由だからか安積が責められることはなく、そのこと自体は安堵したのだけれど…

その理由のせいで市ノ瀬が孤立してしまわないかが心配だ。最悪好かれこそしなくとも、平和な学生生活を送ってほしいと思う。

自分の未練がこんな事態を引き起こしてしまうなんて思ってもみなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

ヤンデレでも好きだよ!

はな
BL
春山玲にはヤンデレの恋人がいる。だが、その恋人のヤンデレは自分には発動しないようで…? 他の女の子にヤンデレを発揮する恋人に玲は限界を感じていた。

処理中です...