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- 15章 -
- 進級 -
しおりを挟む勢い良く掲示板へと向かい並ぶ名前を順々に見て行くと、確かに1番最後に見慣れない名前があった。
「市ノ瀬…睦月?」
「先ほど担任に会いましてね。転校生が来るって聞いたんですよ」
「なんかもう馴染んでるからあれだけど、一応せーちゃんも転校生だったんだよね」
「なんか色々と衝撃的だったな」
「だって早く慣れたかったんだもん」
「だからって、転校生本人が“転校生くるんだって”って言いに来たりさ」
「行き成り教室に“私のために争うのは止めて!”って叫んで入ったり」
「自分を“華奢で人見知りな可愛いシャイボーイ”なんて、360度違う自己紹介をしてウィンクを飛ばしたりとかね」
「面白かったでしょ?」
「面白かったよっ!」
「「…………」」
安積の思惑は、植野にとっては有りだったようだが、他2名にとってはそうでもないらしく…
「俺は植野が居なかったら絶対関わろうとは思えないな」
「僕は…どうでしょうね。とりあえず独特な子が来たなぁと」
「えっ!? 俺かなり空回り!?」
2人からの反応が思いの外著しくなかった事にショックを隠せず、その視線から隠れるように植野の後ろへ回り制服をきゅっと掴んだ。
「一生懸命考えたんだけど…味方は綾だけだよ…」
「大丈夫だよ! 俺以外にもいっぱい居るって!」
「そうかなぁ…」
「…もう良いだろ?」
植野の背中にぴったりと引っ付きメソメソしている安積を片手で押し出した鈴橋が、今度はすぐさま植野の背中を押した。
その表情はかなり不機嫌だ。
「さっさと教室行くぞ」
「あっ、ごめんごめん!じゃぁ、また後でねっ!」
「う、うん。また後で」
鈴橋等が消えた方向をぽけっと眺めているその表情からは、何を考えているのか大体想像はつく。
「なんか、がっくんめちゃくちゃ怒ってた?俺なんかやらかしちゃったかな?」
「別に、嫌われたとかそういう分けじゃないと思いますよ」
「…でもなんか、そっけなかったような気がする」
「気のせいですって。学君は極端に人ごみ嫌いますし、騒がしい所も嫌いだそうですし、早くココから離れたかったんでしょう」
「そうなの?…それなら、良いんだけど」
不に落ちない顔をしてる安積を横目に、堪えきず班乃の口からほ小さな笑い声が漏れた。
だって、今の鈴橋の反応といったら…
「あっきー? どうしたの?」
「え? あ、なんでもありません」
『“やきもち”なんて、可愛いところもあるじゃないですか』
そんな反応をみせられらば、さっさとくっつけば良いのにと思わずに居られない。自分の気持ちに鈍感なのにも程がある。
密かに植野へ哀れみを抱きながら、隣で未だに煮え切らない顔をしている安積の背中を叩いた。
「さて、僕達も教室に行きましょうか? 転校生も来るみたいですし、これから楽しくなりそうですね」
「そうだねっ! 転校生かぁー!どんな子が来るんだろう…仲良くなれるといいなっ!!」
その言葉に笑顔だけで答えて、2人はそろって教室へと足を向けた。
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