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- 14章 -
- 日常のひとこま達 - 植野&月影
しおりを挟む月影に連れて来られたのは、こじんまりとした喫茶店。
柱に植物の蔦が巻き付き、所々に鳥籠がぶら下がっていて、モダンで落ち着ける雰囲気だ。
迷う事なく、奥の囲いのある席へと歩いていく月影に続くようにして向かい合って席に座った。
「なに頼もうかなぁ~。君はなにが良い?」
「えっ? あ、いや。俺は別に…」
「…1人で食事とか寂しいんだけど」
「…じゃぁ、月影さんのオススメで。あんまり紅茶とか詳しくなくて」
植野のその言葉に嬉しそうに笑うと、馴れた様子で注文をした。
注文した物が届くまで本題にははいらず当たり障りない会話を楽しみ、注文が届くとまったりとケーキを美味しそうにつつき、なかなか始まらない話にとうとう痺れを切らし本題を促した。
「あのっ、俺に話したい事ってなんなんですか?」
その問いにニッコリと笑い返し、最後の一口を食べ終わった後、紅茶で口内を落ち着かせた月影は満足したような顔でとんでもない事を口走った。
「鈴橋君とは上手くいったのかな?」
「………は?」
鈴橋と上手くいったのか。
「な…んの事ですか?」
そう返したものの、その言葉が何に対しての事なのかは、問いかける表情からして分かる。
だが、なんでこの人が自分と鈴橋の事を知っているのか?
『鉄兄にも言ってないし、がっくんが言うとは考えずらい。だとしたら会長?なんか仲良さそうだったし…』
「会長から聞いたんですか?」
「あの子からは何も聞いてないよ?」
…違ったらしい。
じゃなんで…
「この前ね、天気良くて気持ち良さそうだったから学校の中庭でも散歩しようと思ってさぁ」
「…なんですか? いきなり」
「うん。そしたらね、疾走してきた子と衝突しちゃって」
「……はぃ?」
一体この人はなに、を…
「……あれ? 衝、突?」
「ちょっと落ち込んでたみたいだから心配してたんだぁ。まだバレる訳にはいかなかったから誤魔化して逃げたんだけどね。その後最初の目的通り中庭に行ったら鈴橋君が居たから、もしかしてって思って」
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