Pop Step

慰弦

文字の大きさ
上 下
235 / 1,150
- 14章 -

- 日常のひとこま達 - 植野&月影

しおりを挟む


月影に連れて来られたのは、こじんまりとした喫茶店。

柱に植物の蔦が巻き付き、所々に鳥籠がぶら下がっていて、モダンで落ち着ける雰囲気だ。

迷う事なく、奥の囲いのある席へと歩いていく月影に続くようにして向かい合って席に座った。


「なに頼もうかなぁ~。君はなにが良い?」

「えっ? あ、いや。俺は別に…」

「…1人で食事とか寂しいんだけど」

「…じゃぁ、月影さんのオススメで。あんまり紅茶とか詳しくなくて」


植野のその言葉に嬉しそうに笑うと、馴れた様子で注文をした。

注文した物が届くまで本題にははいらず当たり障りない会話を楽しみ、注文が届くとまったりとケーキを美味しそうにつつき、なかなか始まらない話にとうとう痺れを切らし本題を促した。


「あのっ、俺に話したい事ってなんなんですか?」


その問いにニッコリと笑い返し、最後の一口を食べ終わった後、紅茶で口内を落ち着かせた月影は満足したような顔でとんでもない事を口走った。


「鈴橋君とは上手くいったのかな?」

「………は?」


鈴橋と上手くいったのか。


「な…んの事ですか?」


そう返したものの、その言葉が何に対しての事なのかは、問いかける表情からして分かる。

だが、なんでこの人が自分と鈴橋の事を知っているのか?

『鉄兄にも言ってないし、がっくんが言うとは考えずらい。だとしたら会長?なんか仲良さそうだったし…』


「会長から聞いたんですか?」

「あの子からは何も聞いてないよ?」


…違ったらしい。

じゃなんで…


「この前ね、天気良くて気持ち良さそうだったから学校の中庭でも散歩しようと思ってさぁ」

「…なんですか? いきなり」

「うん。そしたらね、疾走してきた子と衝突しちゃって」

「……はぃ?」


一体この人はなに、を…


「……あれ? 衝、突?」

「ちょっと落ち込んでたみたいだから心配してたんだぁ。まだバレる訳にはいかなかったから誤魔化して逃げたんだけどね。その後最初の目的通り中庭に行ったら鈴橋君が居たから、もしかしてって思って」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

処理中です...