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- 13章 -
- 事実は小説よりも奇なり -
しおりを挟む暫し互いの顔を見つめあい、沈黙が流れー
「…あぁ!そう言われれば、あれだね!?普通に話しちゃってたけど、初めましてだよねっw」
頬を指を差して何故か笑いを堪える秋山に、安積が人生の大失敗をしてしまったかのような慌てぶりで勢いよく席から立ち上がった。
「すっ、すいませんっ!ご挨拶遅れました!! 俺、安積聖って言いますっ! えーっと…秋山さんも長谷川さんもっ、兄がお世話になってましたっ!!」
「なんで過去形だよ。現在進行形だよ」
安積の精一杯の挨拶に尽かさず突っ込みを入れたのは、なにかがつぼに入ったように笑う秋山を諌めるように小突いた長谷川だった。
思いもよらぬ所での秒の突っ込みはとても冷ややかで、固まる安積を見つめる長谷川の顔には疲労が垣間見える。
「卒業して進路もバラバラだったけど、なんだかんだことある毎に集まってるもんねっw」
「ほら、俺達は3本の矢だからっ!」
「3人集まったら無敵だよねぇ!」
「お前らは単体でも十分無敵だよ。無敵すぎてスタミナついてかねぇよ。お前らみたいな規格外と一緒にすんな。まじ勘弁だわ」
ほぼ一息に言い放つそんな冷ややかさなど意にもかえさず、ワイングラス片手に両隣に座っている月影と秋山は疲労困憊の長谷川を上目使いで覗き込んだ。
「またまたぁ、そんな心にもないこと言っちゃって!世話のかかる子好きでしょ? てっちゃん♡」
「心にありあまるくらいなんだけどっ」
「僕らもそんなてっちゃんが大好きだよ♡♡」
「ハートつけんなっ!」
完全に置いてけぼりにされ盛り上がる会話を、ただただ見守るしかない学生達の思うことは様々なようで、十人十色な表情を浮かべている。
「……なんでしょう、この既視感」
「なんだかテンション高い時の安積と綾雪に絡まれる学君見てるみたいですね」
「あぁ…そう。それです、それ。…心が痛いです」
小さく呟いた鈴橋に班乃による的確な表現がもたらされ、自分の事ではないのにも関わらず心労が溜まっていく気がし、1つため息を落とした。
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