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- 13章 -
- 真実 -
しおりを挟む「あぁ、もしかして前に撫子の君の話した時食いついたのって、単純に面白がってたわけじゃなくて月影さんかもって思ったからだったのか?」
「うん。まぁ、うる覚えだったから確証はなかったけど」
「…うる覚え」
「ってかせーちゃんに兄弟いるなんて初耳なんだけどっ!」
「そりゃ、俺だって最近まで知らなかったし」
「「えっ…?」」
「ぁっ、あー…」
『やば…これは、うっかり…したかも』
ついつい口を滑らせてしまったが、これではあからさまにわけありですと言っているようなものだ。これは自分だけの問題じゃないし、どうしようとあせる気持ちも束の間、軽い口調で月影が口を開いた。
「いやー…ちょっとヤンチャしすぎちゃってさぁー。聖が4歳の時に別々に暮らすことになっちゃったのwまだ小さかったから聖記憶になかったんだよねぇ」
「別々に暮らさなきゃな位のヤンチャって…」
「やだっ、そこは突っ込まないで!!反省はしてるのっ!!」
「そう、ですか。でも全然そうな風には見えないですけど」
「ほんと!?嬉しー!ありがとうっ!!」
明るいトーンで話しているせいか深刻さはまったく感じられない。その上、深入りまでさせないようにしているのにも関わらず嫌な気分にもさせないような言い方だ。
『言い方うま……助けられたなぁ』
だが、事情を知っているだけになんとも言えない気分になる。しかし上手く誤魔化してくれたのだ。自分が台無しにするわけにはいかないとなんとか平静を保つ事に専念する。
「だからね、昨日は13年ぶりの再会だったの。聖、授業サボらしちゃってごめんね?」
「いや、別に…俺も、すっごく話ししたかったし」
授業なんかより兄と話すそうが大事に決まっている。兄と話す事はなによりも優先すべき事だった。しかし、満面の笑みで肩を抱き側頭部をすりすりとするのはやめて欲しい。
『嫌じゃないけど…ちょっと、恥ずかしい…』
もしかしたら兄は鈴橋に負けないくらいシスコン…ブラコンなんじゃないか…
そう思う安積同様、班乃と植野も同じ事を密かに思い浮かべていた。
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