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- 13章 -
- 再会 -
しおりを挟む2人見つめあったまま微動だにせず、刻々と時間が過ぎていく。
そして…
「大きく、なったね。聖」
落ち着き払った静かな声が静寂を破り、ゆっくりと伸ばした手を安積の頭へ乗せ優しく滑らせた。
泣きそうな、でも嬉しそうな、そんな顔で…
撫子の君
月影の一言でその場は一気にさわがしくなる。
そんな周囲の事など気にもせず、安積と月影はただただ無言で向かい合う。それはまるで視線だけで会話を交わしているようにも見えた。
そんな中、居ても立ってもと言った様子で安積に向かい歩き出した生徒の肩を、咄嗟に掴んだ班乃が爽やかな笑顔を浮かべる。
「さて、そろそろ授業はじまりますよ。皆さん戻りましょう?」
「いやっ、でも…」
「でも、なんです?」
「……いえ、戻ります」
その牽制を含んだ笑顔からは有無を言わさぬ雰囲気が漂い、大人しく引き下がった生徒を筆頭に一斉に生徒達がバラけていく。
「えーと……」
「植野、俺達も行こう」
「…うん」
小さくお辞儀をしその場に背を向けた鈴橋に続くように、心配そうな表情を浮かべた植野もその場を後にした。最後の1人となると、班乃は安積達へと視線を向ける。
「安積は体調不良で保健室って事にしておきますね」
「…ありがとう」
積もる話しもあるだろう。
…積もる話しか、ないだろう。
少しでも長く2人だけの時間をと手短に伝えると、班乃も授業へと向かっていった。
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