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- 11章 -
- おたまじゃくしにしか見えない -
しおりを挟む「………は?」
「気持ち悪いんですよ。それに、郷に従えない頭の弱い人間もお断りです」
なにを言われたか理解すら出来ていないような顔で見上げる女性を冷ややかに見下ろした。
『馬鹿だな。ほんと』
暫し見つめ合うと漸く理解が追い付いたのか悔しそうに何かを言いかけた女性だったが、直ぐに口を閉ざしわざとらしく笑った。
「そんな女相手に腰振ってイッたくせになに言ってるんだかっ。アンタだって十分気持ち悪いわっ。良いわよ別にっ。男なんて一杯居るし、アンタみたいな最低な男っ、こっちから願い下げよ!」
悩ましげに体をしならせすり寄ってきた姿はどこへやら。女性は豪快に肩をぶつけながら夜の町へと向かい大股で歩き出し姿を消した。
その消えた方向を無意味に見つめながら、言動や行動の品性のなさにドン引き言葉を失う。目にする機会がなかったわけではないが、女性の変わり身には本当に驚かされてばかりだし、生物学上好きじゃなくても出来る事を理解していないのも驚きだ。
していたとしても、それを文句として言い捨てるのは愚の骨頂すぎる…
「…まぁ、最低な男ってのは同感ですけどね」
しかしだ、一夜限りと言う暗黙の了解で周っているこの界隈で、合意もなくそれを無視する人間が居るとは…。
「あー…自業自得とはいえ、面倒くさくなってきた…」
でも、里緒と約束したことを守らないわけには行かない。
「まぁ…その約束がなくったって、戻るつもりもありませんけど」
自分の髪の毛に片手を突っ込み苦笑いをすると、今まで入り浸った煌びやかなネオン街に目をやり、今度こそ自分の家へと向かって歩きだした。
その時…
「ちょっと! ちょっと待って!」
不意に後ろから自分を呼び止める声が上がった。
その声は良く知っている人物のもので…
『なんで…なんでこんな所に…こんなタイミングで…』
ホテルがひしめき合うこんな場所ではちあうなんてタイミングが悪すぎる。聞こえなかったふりをしてこの場を去れば良かったのだが、それに反し体はその声の主を振り返るのだった。
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