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- 9章 -
- すれ違い -
しおりを挟むそのまま自己嫌悪により霧がかかったような気持ちで1日が過ぎていき、部活にもあまり気が入らないまま気がつけば一列に並んだ部員と共に頭を下げ部活が終わった。
「あっきーお疲れぃ」
「お疲れ様です」
「やっぱあっきーは、立ち振舞いも顔もスタイルも王子様だよなぁー」
「ありがとうございます。安積も顔もスタイルも立派な令嬢でしたよ。立ち振舞いはまだ男ですが…」
「だって男の子だもん…スカート長くて内股気にしなくて良いのが救いだよw」
「まぁ、お互いそんな出番は多くないですし、出来るだけ頑張りましょう」
「そだね!もっと声張れる様に内臓筋鍛えなきゃ!」
「息ちゃんと続くようになりました?」
「なんとか」
発生は腹筋を鍛えれば良いだけじゃない。内臓筋を鍛えなければ発声も声量もぶれない声もでない。
その為に部活で取り入れている練習として、寝転がった状態で限界まで息を吸い込み、腹筋に力を入れ、その状態でゆっくり10秒かけて全ての息を口から吐き出す。それを10回。
そんな練習を、部活、朝練午後練、そして家で寝る前にやる。
簡単そうに感じるが、10秒かけて全て吐き出すのは結構難しい。
「どれだけ効果が出るか、日々楽しみだよ!」
「そうですね。あぁ、そう、今日は先に帰ってください。僕はこれから生徒会の用事があるので」
「えっ!?今から? 大変だね…大丈夫?」
「ありがとうございます。そんな大変な事ではないですから、 大丈夫ですよ」
「そう?それなら良いけど…じゃぁ、頑張ってね!また明日!!」
「はい、また明日」
班乃の肩を叩き数m進んだところで1度振り返り、大きく手を振ってから昇降口に向かう安積を見送ると班乃は2階へと足を向けた。
目指すはあの場所…
「確かに話がしたいと思って来たのですが…そういう時、なぜ貴方はかならずここに居るのか、不思議です」
「可愛い女の子に頼まれたら帰れないよ」
「…あんまり良い気はしませんね」
「おかしいな、誉めてるんだけど」
「…名前」
「ん?」
「名前教えて下さい。話しづらいです」
「んー…」
班乃は安積と別れた後、美術準備室に来ていた。
生徒会の用事ではなく、
撫子の君と話をするために。
「撫子の君じゃ呼びづらいんですけど」
「んー…そう?」
「そうです」
「うーん……名前ねぇー…教えない方が、七不思議としては面白いと思うんだけど」
「そんなにその設定が大事なら、秘密は守りますよ」
「なんか格好良いね、そのセリフ」
「茶化さないで下さい」
今日も撫子の君はスケッチブックを立て掛け椅子に座り、下校中の生徒が行き交うグラウンドをぼんやり眺めていた。
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