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慰弦

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- 9章 -

- すれ違い -

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「お帰りあなたぁ~♡」

「ただいまお前~♡♡」

「お風呂にする?ご飯にする?それとも…」

「お・ま・えっ♡♡♡」

「馬鹿だ」

「「断定!?」」

「あれ、違うと思ってたんですか?」

「「Σ !?」」

「気持ち悪い…」

「「Σ Σ!!?」」


葉斗から逃れるように保健室を飛び出した安積は体育の終わった班乃達を昇降口まで迎えに行き、そしてこの会話である。

3人は水道で汗を流してきたのだろう。
前髪が若干濡れているそれすらも羨ましく思えてしまうが、心配をかけさせないように、悟られないように全力で笑顔を作った。


「見てたよー皆の雄姿!!」

「マジで!?どうだった?」

「やー、やっぱ綾とあっきーは運動神経良いねー!2人とも見事なシュートだったよ!!」

「僕の場合はサッカー部の人がほぼ同チームだったので、旨くフォローしてくれたからの点数ですよぉー」

「まったまたぁ、謙遜しちゃってっ!それにしてもがっくんは今日も見事なまでに受身なしでずっこけてたねぇーww」

「俺はインドアだからしょうがない」

「あ、開き直ったw それにしても今日もせーちゃんは見学してたんだねぇ。たまにはせーちゃんとも走り回りたいなぁ」


植野のその言葉に、安積の肩が小さく揺れたのを班乃は見逃さなかった。

ほんの一瞬言葉に詰まった安積だったが、心底嫌そうな顔をして植野へと振り向く。


「えぇー…俺運動も痛いのも大っきらーい。がっくんみたいに転けたら心折れて一生落ち込んじゃう」

「喧嘩売ってる?」

「それにほら、俺ってか弱いからww」

「まったくふざけた奴だよ」

「ってかなんでそこまで嫌いなの? せーちゃんって走り回ってずっこけて大爆笑してそうなイメージだけどな」

「どんなイメージよそれw」

「落ち着きないって事?」

「わんぱく坊主って事ですかね?」

「どちらも良い印象ではないな」

「皆ひどくないっ!?」


話ながら4人仲良くだらだらと教室へと向かっていたものだから、教室につくころには授業開始のチャイムがなった。


「じゃ、また後でー^^」

「おう!」


軽く手を上げ4人はそれぞれ教室へと入っていくが、自身の席へと向かう安積の直ぐ後ろを歩いていた班乃は無意識にその肩に手を伸ばした。


「ん? どうしたあっきー?」

「あっ、すいません。なんでも、ないです」

「そぅ?」


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