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- 9章 -
- すれ違い -
しおりを挟む『まったく…近年のネット事情はほんとに厄介だな』
内心、葉斗は少しばかり憤りを感じていた。
ネットには教育上良くないことが規制もなくゴロゴロと転がっている。知らなくて良いことだって、容易に知れてしまう。
だからこそ確りとした指導が必要となるのだが、教師としての自分と個としての自分の考えが一緒とは限らず、正解の指導に迷いが生じてしまうのだ。
正直、大人になれば戯れに体をあわせる事もあるし、そこに気持ちがない事だってある。ただただお金のため、一時期の性欲のため、寂しさを紛らわすため。
お互いが相違した目的の上でことに至る事なんて珍しくない。
だが、そんな事は出来ればないほうが好ましいし、まだ未来ある学生が知るには早すぎる…と思う。
子供たちには純粋に人を好きになって、純粋にその人と幸せになって欲しい。好きになった人だけを大切にしてほしい。
それなのに、ネット上の年齢問わず誰の目にも触れられる場所でそういった情報を安易に流す輩が居るなんて。
「…良い迷惑だよ」
「ん?どうしたの葉斗先生?」
「いいえ。それより勉強は進んでますか?教科書、さっきからずっとそのページですけど?」
「えっ!?そ、そんな事ないよ! それよりさ!先生は彼女居るの? かわいーぃ?」
「こらっ、話そらさない! じゃぁ、バスケのポジション、全部言ってみて?ちゃんと勉強してたなら分かるよね?」
「えっ!? えーと……」
なんだかいつもよりも迫力のある笑顔に、意識は教科書とは違うところに飛ばして居たなんて言えそうもない…
一先ずは知っているものだけでもと、記憶を掘り起こしていく。
「えーっと…ガードに、フォワードに…センター!!」
「はい、あたり。では、ガード、フォワードには二種類ずつありますが、それはなんていうポジションでしょうか?」
「………えっと」
「ん?」
葉斗はにっこり笑うと、安積の前へと座り顔を覗き込んだ。逃げられない距離。安積は葉斗の目をしっかりと見返したあと、眉を下げて笑い返した。
そのままスイっと視線を外に逃がし、元気良く動き回っている同級生たちを見やる。
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