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- 8章 -
- 休日 -
しおりを挟む飲めなくはないし、家じゃ母親と飲む。母曰く、人に迷惑になるまで飲まなきゃ良いという概念だから、鈴橋の家なら飲んだ所で問題はないだろう。
だが…
学父の正面、植野の後ろ側から、無言の圧力が降りかかっている。その圧力は徐々に大きくなり、足音と共にすぐ後ろまで迫っていた。
「あなた?未成年の成長盛りの子に何を言っているの?『家』では何があろうと未成年の子にお酒を飲ませるなんて許しません」
声が氷点下…いつも笑顔でゆったりとした喋りの学母の面影は皆無だった。
「でっ、でも、もし高校卒業して社会に出たら、男の子だし、付き合いで飲まされる事もあるだろうし…」
「もしは酷いっ!?しますよ卒業っ!!」
「その時は、その時。働くことになったら、毎日少しずつ家で飲ませて慣らしていけばいいの。飲みすぎる過ぎないは、自分の意思しだいよ?流されて飲まされるような子に育ててるつもりはないし、それでも飲まされて何かあったなら、飲ませた非常識な大人に文句言いに言います。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
有無を言わせない妻の迫力にしょんぼりと肩を落とす鈴橋父へ励ましの言葉を探すが、下手をすると飛び火、もしくは火に油を注ぎそうな未来が見え…ごめんなさいと心の中で誤り口をつぐんだ。
そんな2人の空気など完全無視を決め込んだ妻は、どこか晴れやかな笑みを浮かべている。
「ごめんね、綾雪君。お父さんが迷惑かけて困らせちゃったわね」
「いや、考えは人それぞれですし、迷惑なんて…」
「ありがとう。綾雪君はご自宅でお母様と飲むこともあるみたいだけど、あまり飲みすぎちゃ駄目よ?まぁ、若子さんがいらっしゃるから大丈夫だと思うけれど」
「えぇ、色々学ばせてもらってます」
「心強いわね!一緒に飲めるの、楽しみにしてるわ」
「はい!」
実をいうと、鈴橋両親は自分の母親の仕事を知っている。教育に関わる仕事上嫌煙されると思いきや、それでも変わりなく、偏見もなく接してくれる2人には凄く驚いたと同時に、受け入れてくれた事にもとても感謝もしている。
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