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- 8章 -
- 休日 -
しおりを挟む「おじさん、おばさん……
ありがとうございます。がっくんもありがとう。そういって貰えて嬉しいです。それと紗千ちゃんもねっ!」
未だ不機嫌そうに腰に抱きつく紗千の頭に自分の顔を隠すようにおでこを乗っけた。皆が、鈴橋が自分の気持ちを感じとってくれた事が、幸せな家族を見て寂しく思っていた事に、それでいて自分を快く受け入れてくれたことが嬉しくて…不覚にも少しだけ涙腺が蓋を開けた。
「綾雪兄ちゃん?泣いてるの?」
「みーんな優しくて嬉しくて泣いてるんだよっ!」
気恥ずかしく下を向いたまま穏やかに笑い、紗千の小さい体を優しく抱き締めた。
丁度その時、タイミング良くポケットに入れっぱなしだった植野の携帯がけたたましく鳴った。一回鼻をすすりディスプレイを見ると、仕事中の筈の若子からで…
「母さんだ…」
軽く鈴橋達に頭を下げ、通話ボタンを押した瞬間、着信よりもけたたましい若子の声が響く。
「やっほーたかちゃん!お休みエンジョイしてる!?」
そんな若子の声は鈴橋達にも筒抜けで、皆驚いた顔をして箸を止めた。
「かっ、母さん声でかいよ;」
「あり?ごめんごめんw」
「今仕事中だろ?なにしてんだ?サボり?」
「母さんを馬鹿にするな?いま同伴出勤してお色直し中でついでに一服中よん☆」
「客待たすなよ;」
「いいのよ!焦らすくらいが丁度良いの」
「さいですか」
策士…身近で感じて思うが、やはり夜を仕事にしてる女性は怖い。
「それより今学君家?」
「え?あぁ、そうだけど?」
急に母から問われ、自然と鈴橋家族に視線を向けると不思議そうな顔をした4人の視線を集めた。
「それがなによ?」
「うん。息子がお世話になってるんだもん。ちょっと挨拶したいから携帯ハンズフリーにしてくれない?」
…なにを言い出すかちょっと不安だ。だがそれよりもなんだかこういうのはこそばゆい。
なんだか凄く大事にされてる気がする。
「あの、母さんが挨拶したいって。良いですか?」
「あら、勿論よ!家族全員綾雪君にはお世話になってるし、私もご挨拶したいわ」
「あ、ありがとうございます」
鈴橋を見ると、鈴橋もなんだか照れくさそうな顔をしている。
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