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- 8章 -
- 休日 -
しおりを挟む「やだっ、学君ちょーやっさしぃ!綾ちゃんとは大違~い!大好きぃ!!」
「すっ!?」
ひきつった顔をした鈴橋へ満面の笑みで両手を広げ近付こうとする母の腕を、植野は力一杯ひっ掴むと引きずるように自室へと放り込んだ。
「いったぁ~っ!綾ちゃん酷いっ!乱暴はんた~いっ!」
「うっさいわっ!逆セク反対っ!ちゃんと服着てから出てこいっ!」
尚もドアの向こうでぶつくさ言ってる若子を無視して、植野は顔を青くしながら鈴橋へ顔を向けた。
「ごめんね、がっくん…常識ぶっとんでて…」
「…や、いつ見てもお前ら親子の会話は賑やかで面白いよ」
「そんな気ぃ使わなくても良いよ…」
「……まぁ、正直、ちょっと困る」
「ごめん…」
お互い乾いた声で笑いあうと気を取り直し、若子の登場でお預けを食らっていたお弁当へとようやく箸を伸ばした。
なんでもない会話をしながらの昼食。鈴橋の家庭は和食中心のため、お弁当も今時珍しい程に和食一色だ。そして味も申し分ない。
だがどんなに美味しい料理を味わおうとも、植野の意識を止めることは出来ない。
向かい合ってお弁当を食べる
少し低い位置にある鈴橋の顔。
眼鏡越しに見える長めのまつ毛が瞬きの度に揺れ、伏し目がちな目を恥ずかしそうに隠す。
育ちの良さをうかがえる姿勢の良さと箸の持ち方、けして大口を開けて頬張る事はせず、きっちり1口分を箸にとり上品に規則的に運ばれていく。
運ばれた先には、荒れの見えない薄目の唇。
そのどれもに目が奪われる。
友達であり同性の鈴橋に対してこんなふうに感じる様になったのはいつからだろうか。
確か鈴橋と初めて会話をしたのは
良く晴れた日の午後だった。
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