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- 8章 -
- 休日 -
しおりを挟む同時刻頃、薄暗いホール内に掠れ声が聞こえていた。
「ねぇねぇ、これ面白そうじゃね?」
「確かに…次の舞台の参考にできそうですね」
小声でそう会話を交わす2人は、巨大なスクリーンが薄暗く照らす空間に仲良く並んで座っている。
そう、ここは近所にある映画館。部活の参考にと、今話題のラブストーリーを見に来ていた。
高校男児2人きりでという何とも言えない組み会わせで。
しかし当の本人達に気にした様子はなく、番宣にあーだこーだ言いながら気も早々に次見る映画を検索しているようだ。
「もう今更女役がいやだとか言わないけど、やっぱ仕草とか色々難しくてさぁ…女の子らしい仕草ってなんだろう?」
「歩幅は控え目に、肩を揺らさず…あとは上目遣いとかー…あっ、すいません、上目遣いは常にでしたね」
「地味に悲しくなるから止めてっ」
「可愛らしくて僕は好きですけどね…」
「うっ、嬉しいようなっ、嬉しくないようなっ」
「あとは、少し内股で歩くとか?」
「内股…内股かぁ…ちょっと嫌だなぁ…」
「じゃぁ、練習として帰りは内股歩きして帰りましょう?」
「外はやだぁっ(´Д`。)」
そうこうしている内に、ホールを薄暗く照らしていたライトが消え、真っ暗になった。ついに本編が始まる。
期待で胸を膨らませた面持ちで2人は口をつぐみ、スクリーンを見つめたのだった。
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