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- 8章 -
- 休日 -
しおりを挟む「やってるな」
学校についた鈴橋はフェンス越しに校庭を覗きながら校門を目指していた。
校庭からは生徒達の活気のよい声が聞こえており、その中から聞き覚えのありすぎる叫び声が聞こえ反射的にそちらに顔をむける。
その視線の先では、派手にバーを倒しながら落ちていく植野がいた。
「なにやってんだよ、あいつ…」
マットがあるとはいえ、あんなに高い所から落下して怖くはないのだろうか?自分だったらと考えると少し身震いすらする。
慣れとは凄いなと思いつつ時計を見ると、まだ練習は終わりそうにない時間だ。それならついでだしと、現在育成中である植物達の様子をみに花壇へと向かった。
たどり着いた花壇には、小さく鮮やかな芽が順調にぽつぽつと顔を出している。
今日の担当がつい先程まで居たようで、あげたばかりの水滴がキラキラと太陽光を受け輝いていた。
勿論雑草なんて見当たらない。栽培部のメンバーは最低基準の5人しかいなく、幽霊部員が内3人。
だが花壇の様子を見れば、部室に顔を出さないだけで幽霊部員達も休み中の水やりはちゃんとやってくれているようだ。
「綺麗だな…」
開花時期を迎えた花壇近くの段差に座り込むと、暫く眺めたあとゆっくりと目を閉じる。
この花壇は静かな裏庭に位置しており、近くには小さな噴水があるおかげでいつだって心落ち着かせる水音を響かせている。
鈴橋1番のお気に入りの場所だ。
今日は少し肌寒いがここは日光が良く当たる。
じっとしていると服越しにゆっくりとした優しい暖かさが体全体を包み込んでくる。
こんな日にこんな場所で、座って目なんか閉じたりしたら、誰にだって眠りの妖精が舞い降りてくるだろう。
鈴橋も例外ではなく、妖精の誘惑に負け徐々に夢の中へと足を踏み出していった。
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