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- 7章 -
- 子供達の救世主 -
しおりを挟む「ねぇねぇ、機嫌なおしてってばぁー(;´д`)」
「うっさい黙れ」
全力失踪で逃げ出した鈴橋だったが、あれから間も無くしてすぐ追い付かれてしまった。
自分の運動神経は、自慢じゃないが平均よりももっと下回る下の下なのは自覚している。だがまさかあんな直ぐに追い付かれるなんてと、鈴橋は密かにため息をついた。
なにを隠そう、校門につく頃にはすでに追い付かれて居たのだから。
それから植野は鈴橋の機嫌をとりながら自宅への道を歩いている。
自覚していると言えども、やはり鈴橋も男の子なわけで、敵わない事は分かっていても小さな自尊心が疼いてしまう。
だがしかし、こう言うときは “ 自他共に認めるインテリ ” な頭脳を持ってして解決する。
あいつは瞬発力が強力な短距離タイプ。
俺はコツコツと自分のペースで進む長距離タイプなのだ。
タイプが違うゆえ俺は決して負けたわけではない。
無事に解決っ!
…な訳がなく、余計虚しくなったのは言うまでもない。
「………がっくんは」
「っ!?」
頭の中で悶々と考えていると、かなりの確率で周りの声が入ってこない時がある。まさに今がそうであったため、行きなり置かれた肩の手に少々オーバーなほどに驚いてしまった。
「….なんだよ?」
不覚にも驚いてしまった事を出来る限り取り繕いながら振り返ると、そこには何かに怯えたような、けれど真剣な表情をした植野の顔があった。
「植野?」
「あーゆーの恥ずかしい?」
「…あーゆーの?」
「いや、だから、がっくんに向かって手振ったりとかさ」
「あたりまえだろ」
「じゃぁ、嫌?」
「ん?」
「俺に手振られるの、嫌?」
「はぁ?」
真剣な顔して一体こいつは何を言っているんだ?
「嫌にきまってんだろ」
あやふやな言い方をすると、多分この後も変わらず同じ事をしてくるだろう。それは避けたいと植野の目を見てはっきりと声を上げた。
「そんな事されたら、部活後わざわざ教室戻ってお前を見てるのがバレバレじゃないか。…恥ずかしいから嫌だ」
「……」
「ってか見てるってのがバレてるだけでも恥ずかしいのに」
人に聞くだけ聞いておいて、呆気にとられたような顔で突っ立っている植野の腕を軽くこずく。
「だからもう公衆の場で手振るなよ?ほら、いい加減帰るぞ」
「…うん。… あのさ、がっくん」
「今度はなんだ?」
「俺ってそんなに綺麗に飛べてるの?」
「……そうだな」
「前より?」
「別に棒高跳びに詳しいわけじゃないから、余り無責任な事は言えないけど…」
そのあとに続いた鈴橋の言葉は、植野を骨抜きにするには十分だった。
「今でも見てて飽きないって事は、昔より昨日より、綺麗になってるんじゃないか?」
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