46 / 1,142
- 7章 -
- 子供達の救世主 -
しおりを挟む「ねぇねぇ、機嫌なおしてってばぁー(;´д`)」
「うっさい黙れ」
全力失踪で逃げ出した鈴橋だったが、あれから間も無くしてすぐ追い付かれてしまった。
自分の運動神経は、自慢じゃないが平均よりももっと下回る下の下なのは自覚している。だがまさかあんな直ぐに追い付かれるなんてと、鈴橋は密かにため息をついた。
なにを隠そう、校門につく頃にはすでに追い付かれて居たのだから。
それから植野は鈴橋の機嫌をとりながら自宅への道を歩いている。
自覚していると言えども、やはり鈴橋も男の子なわけで、敵わない事は分かっていても小さな自尊心が疼いてしまう。
だがしかし、こう言うときは “ 自他共に認めるインテリ ” な頭脳を持ってして解決する。
あいつは瞬発力が強力な短距離タイプ。
俺はコツコツと自分のペースで進む長距離タイプなのだ。
タイプが違うゆえ俺は決して負けたわけではない。
無事に解決っ!
…な訳がなく、余計虚しくなったのは言うまでもない。
「………がっくんは」
「っ!?」
頭の中で悶々と考えていると、かなりの確率で周りの声が入ってこない時がある。まさに今がそうであったため、行きなり置かれた肩の手に少々オーバーなほどに驚いてしまった。
「….なんだよ?」
不覚にも驚いてしまった事を出来る限り取り繕いながら振り返ると、そこには何かに怯えたような、けれど真剣な表情をした植野の顔があった。
「植野?」
「あーゆーの恥ずかしい?」
「…あーゆーの?」
「いや、だから、がっくんに向かって手振ったりとかさ」
「あたりまえだろ」
「じゃぁ、嫌?」
「ん?」
「俺に手振られるの、嫌?」
「はぁ?」
真剣な顔して一体こいつは何を言っているんだ?
「嫌にきまってんだろ」
あやふやな言い方をすると、多分この後も変わらず同じ事をしてくるだろう。それは避けたいと植野の目を見てはっきりと声を上げた。
「そんな事されたら、部活後わざわざ教室戻ってお前を見てるのがバレバレじゃないか。…恥ずかしいから嫌だ」
「……」
「ってか見てるってのがバレてるだけでも恥ずかしいのに」
人に聞くだけ聞いておいて、呆気にとられたような顔で突っ立っている植野の腕を軽くこずく。
「だからもう公衆の場で手振るなよ?ほら、いい加減帰るぞ」
「…うん。… あのさ、がっくん」
「今度はなんだ?」
「俺ってそんなに綺麗に飛べてるの?」
「……そうだな」
「前より?」
「別に棒高跳びに詳しいわけじゃないから、余り無責任な事は言えないけど…」
そのあとに続いた鈴橋の言葉は、植野を骨抜きにするには十分だった。
「今でも見てて飽きないって事は、昔より昨日より、綺麗になってるんじゃないか?」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる