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- 6章 -
- それぞれの大切な人 -
しおりを挟む「お兄ちゃんっ!?」
「大丈夫か!?」
「ちょっとがっくんっ!おままごとの邪魔しないでよねっ」
「煩いっ! 紗千の婿は俺が選ぶっ!そしてそれはお前じゃなっ…」
そんな兄の言葉を遮るようにして叫んだのは最愛の妹であり
そしてその言葉は兄を抜け殻にするには十分だった。
むしろとどめに近い一言を満面の笑みで投下した。
「さちねっ、さち、大きくなったらせーお兄ちゃんのお嫁さんになるっ!」
「「はいっ!??」」
「あらら…」
「なんかだぁーいぶ気にいられたみたいですね」
「えぇーー!?w ちょー嬉しいっww」
「…さっ、紗千っ、なんでコイツ?」
「楽しいし優しいし面白いしカッコ良いし可笑しいから好きっ!」
「なんか同じような内容3回言いましたね」
「さすがボケ担当」
「や、そういうつもりじゃないんだけど」
「良いなぁー紗千ちゃん…でもでもっ、私の旦那さんの方がカッコいいもんっ!」
「あぁ、それはそれは。ありがとうございます」
「そうかもだけどっ、でもせーにぃちゃんは可愛いもんっ!」
「ですって。良かったですね。可愛いは正義ですよ」
「絶妙に嬉しくないんだけどっ!?」
皆がそんな会話をしている中、只一人鈴橋だけは妹を抱きあげたまま固まっていた。
そんな鈴橋が意識を取り戻す頃には外も薄暗くなり、1人残っていた女児も母親と一緒に帰路についていた。
「さて、じゃぁそろそろ帰ろうか? おばさん達まだ帰れないんだろ?」
「あぁ…今日は作り置き無いから、急いで帰って夕飯作んないと…」
教室には鈴橋たちと妹のみ。
あからさまに元気のない鈴橋とは逆に、紗千は安積が物凄く気に入った様子で終始ひっついて歩いていた。それを鈴橋を更に堕ち込ませているのだが…
「いつかはこんな日が来るとは思ってたけど…まさかこんな早くて、更に相手が安積なんて…」
「子供の成長は早いですからね」
「会長、あんまりがっくん虐めるのやめてあげてくださいよ」
「あははっ」
鈴橋の母親である副園長にあいさつを済ませると、5人は仲良く帰路につく事にした。だいぶ暗くなった住宅街を歩いていると微かに聞こえる生活音に癒されたりする。
「っていうかさ、幼稚園児が婿がどうのこうのって良くある話じゃん。只の憧れっていうか…絶対大きくなったら忘れてるって」
そんな中、背中に遊び疲れて寝てしまった紗千を背負いながら、安積は小さな声で鈴橋へと声をかけた。
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