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- 6章 -
- それぞれの大切な人 -
しおりを挟む「せーちゃんは紗千の旦那さんねっ!外人さんの旦那さんっ!!」
「Σ(´д`)!?」
紗千のいきなりの言葉に、ご指名の入った当の本人でさえも驚いた。
『だっ、旦那さんっ!?』
一瞬なんの事かと頭の中を駆け巡ったが、直ぐにおままごとの事だと至り紗千が背中に抱きついたままの状態で立ち上がった。おんぶの状態でクルリと一回転すると、背中で楽しそうな歓声が上がる。
「よーし!まかせといてよっ(*`▽´*)」
「あー!紗千ちゃんずるーい!良いもんっ、外人さんより会長さんのが偉いんだもんっ!」
「Σ´д`|∥) そうか、外見より経済力か…」
「たかが生徒会長にそんな経済力ありませんて」
幼稚園児から微妙な現実を見せられた安積は若干落ち込むも、こんな所でも会長と呼ばれている班乃に若干笑いそうになる。今思えば鈴橋も植野も会長と呼ぶので当たり前の事なのだろう。
俺の嫁ならぬ、私の旦那合戦が繰り広げられる中、一人現状を理解出来ず固まってる人物が一人。
「がっくん?」
「…………」
「ちょ、がっくん、あくまでもおままごとだからさ」
「安積が旦那?安積が紗千の旦那?」
「いや、おままごとだからね(・▽・;)」
「俺の義弟?」
「がっくん戻ってきて!( ノД`)…」
爆発通り越して氷点下で凍ったバナナよりも凍った鈴橋をなんとか解凍しようと試みる植野だが、かなり難題らしい。
ひっそり班乃よりも鈴橋の扱いが上手い植野でさえのこの状況。
よほど、大切な妹から発せられた “ 安積が旦那さん ” 発言が応えたようだ。
ままごとでさえこの状況なのに、実際嫁に行くとなったらどうなるのだろうか…
「え、えーと…そう!俺達はなにすれば良いかな!?」
なんとか話を進めようとまだ役の決まってない植野がすでにやる気満々な夫婦達に声をかけた。
「えとね、たっちゃん優しいから近所のお兄ちゃん!!」
「おけっ!!じゃぁ、がっくんは?」
「お兄ちゃんは紗千のお兄ちゃんだよ!」
どうやら鈴橋はどう転んでも紗千の兄らしい。それならここは、男らしく言わなくてはならない事がある。
今だに凍ったままの鈴橋を解凍したのは、そんな決意のもとに立ち上がった安積の一言であった。
それは、今の鈴橋にはどんな兵器よりも破壊力のある一言。
「お兄さんっ! 紗千さんを僕に下さいっ!」
「せーにぃちゃんっっ///」
「……だっ」
違う意味で顔を真っ赤に染めた兄弟を見ながら危機感を覚えた植野は、咄嗟に鈴橋と安積の間に割り込んだ。
間一髪。
「誰が兄さんだぁぁぁーっ!!」
全力で叫び今にも飛びかかりそうな鈴橋をなんとか押し止めた。
ままごとの配役だけでこの苦労。ちらりと時計を見た植野は保護者の迎えが早く来るのを切に願うのだった。
そしてそんなドタバタをモノともせずに、やはりと言うべきか。班乃夫婦はすでに夫婦生活を満喫していた…
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