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- 6章 -
- それぞれの大切な人 -
しおりを挟む「部外者なんてそんな…皆さん学のお友達でしょ?部外者なんかじゃないでしょ。2人とも凄くしっかりしてて頼りにもなるし、ちゃんと先生も居てくれるから大丈夫よぉ」
「でもっー!」
「はいっ、はいはいっ!」
焦る息子とおっとりとした母との口論をぶったぎり、いきなり会話に割り込んで来たのは、いままで黙っていた安積であった。
「初めましておばさん!先週から静創学園に転校して来ました安積聖です!分からない事も多い中学君にはとても優しくしていただいて、とても感謝してますっ!」
「はぁ!?お前に優しくした覚えなんてこれっぽっちもないんだがっ!?」
「なので、今日は恩返しも込めて学君の手伝いが出来ないかとこちらに参りましたっ!俺に出来ることならなんでもやりますので、よろしくお願いしますっ!」
「あら、そうだったの?? 息子が優しい子に育ってくれて、母さん嬉しいわぁ~!」
駄目だ。止められる気がしない。
安積のみならず母にまで存在ごと発言をスルーされたような現状に頭を抱えた。そんな自分達を先程から笑いながら眺めている植野等がこ憎たらしい。
『なんでこうなるっ!媚び売るの上手すぎるだろこいつらっ…優しくした覚えもないのにしたことにされてるし、否定も流されるしっ!大体母さんも部外者安易に入れすぎだろっ!?』
心中焦り悪態をつく鈴橋だが、副園長である母の言葉は自分の言葉よりも効力がある。
…確かに母やスタッフの言う通り、植野も班乃もしっかりしているし子供の相手も上手い。なんなら手伝いに来てくれる時間帯に居ることの多い子供の保護者とも既に顔見知りだったりする。けれど部外者には変わりないし、それ以上に安積がどんな行動に出るか不安しかない。
このまま済し崩しに侵入されるのは好ましくない。
「そうそう、紗千もまだ要るから、一緒に遊んであげてね」
「紗千?」
紗千とは一体誰だろう…
もしや…噂の学妹っ!?
その時園庭から甲高い少女の声が響き、一行は一斉に声の方向へと視線を移した。
その先には、はんもっくを着て、ツインテールの柔らかそうな栗毛を揺らしながら可愛いらしい少女がかけて来ていた。
「ねっ、ねぇあっきー?」
「はい?」
「あれってまさか…」
「えぇ、あの子が学君の妹の紗千ちゃんですよ。また少しお姉さんになりましたねぇ」
「うっそ!?似てないっ!やだっ、ちょう可愛いんだけどっ!!」
「そう?どことなーくは似てると思うけどなぁw」
「えっ!?可愛いってこと!?」
「Σ えっ!? えっと…まぁ、それで良いよw」
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