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- 6章 -
- それぞれの大切な人 -
しおりを挟む鈴橋の制止も虚しく保育園に着いた一行。
門の前には赤字にて…
《関係者以外立ち入り禁止》
と書かれた看板がかけられている。その看板の前に仁王立ちした鈴橋は、ビシッと指を指し大きく息を吸った。そしてー
「関係者以外立ち入り禁止っ!」
と、絶対に入れないぞ、と言う意思をふんだんに込めて言い放った。しかし、それで納得する安積ではない。せっかくここまで来たのだし、平気で人にアルミ缶を投げつける鈴橋の妹だって見てみたい。ここで帰る選択肢なんて絶対にありえない。
「なんでよ!がっくんの友達なんだし十分関係者じゃんっ!」
「お前と友達になった覚えはないっ!」
「なんとっ Σ´д`。!?」
「大体っ、人様の大切な子供を預かる施設に易々入れると思ってる方がおかしいだろっ!?」
「そっ、それはー…」
負けじと言い返すが、ズバッと切り捨てられ正論をぶつけられれば返す言葉がない。言いくるめられ言葉をつまらせつつ、なんとか次の言葉を探していく。そんなやり取りを繰り広げる2人をすり抜けた植野は、門越しに職員室らしい場所へと声を張り上げた。
「おばさーんっ、こんにちはー!」
「植野っ!?」
『しまったっ!』
安積に集中し過ぎて、1番マークすべきである植野の存在を忘れていた。
実をいうと班乃と植野は何度か保育園の手伝いに来た事があった為、既にスタッフ諸々顔見知りとなっている。社交的かつ真面目な2人は直ぐに打ち解け、今では信頼も厚い。
今の叫び声、どうか気付かれませんように…その祈りも虚しく、職員室から顔を出したのは保育園の副園長、鈴橋の母親そのものだった。
「あらっ、綾雪君に明君!お久しぶりじゃない!」
「お久しぶりです、おばさん。お忙しいようですがお変わりありませんか?」
「ありがとぉ、明君。大丈夫よぉ。毎日子供達から元気貰っているものっ^^」
「おばさん元気そうで俺も嬉しいっ^^今日はまたなにか手伝えないかと思って寄ったんだけど」
「あら、嬉しいわ!!今日は親御さんの帰りが遅くてまだ帰れない子が居るのよぉ。良かったら相手してあげて」
「勿論ですっ!」
「かっ、母さん、いくらなんでも何度も部外者居れるのはどうかと思うんだけどっ!」
このままだと確実にヤバい。母親も例に漏れず植野と班乃の事は気に入ってるし、この話の流れは確実にヤバいっ!
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